1. 企業動向
(1)アップル
アップルは世界最薄のノート型パソコン(ラップトップ)の最新版「マックブック・エア」を発表した。製品は13.3インチのディスプレイを搭載し、厚さは1.9センチ。フルサイズのキーボードも搭載する。プロセッサには、インテル製1.6ギガヘルツ「コア2デュオ」を採用している。価格は1799ドル。【1月16日】
昨年末の歳末商戦期におけるiポッドの販売台数が、アナリストが予想した2400万〜2500万台を下回る前年同期比5%増の2210万台にとどまった。ただし、売上高では前年同期比17%増を記録している。これは、消費者が高位機種を好んで購入する傾向が強くなってきていることが要因として挙げられている。一方、同社製コンピュータのマッキントッシュの販売は、台数ベースで前年同期比44%増、売上高ベースで47%増と記録的な好調を示した。パソコン市場全体の販売台数伸び率に比べておよそ2.5倍増ということになる。現在、iポッドやiチューンズによる売り上げは、アップル全売り上げの50%を占めている。【1月24日】
iフォンは、携帯電話会社AT&Tが独占的にサービスを提供しているが、一部の購入が電話機のロックを解除して別のサービスを利用していることが数値として明らかになった。調査会社、バーンスタイン・リサーチによると、2007年末時点で約145万台に上るiフォンの行方がわからなくなっていた。同社がアップルとAT&Tの販売データを比較してみたところ、145万台のうち約48万台はAT&Tが在庫として抱えていることがわかった。結果、販売されたアイフォン全体の27%に相当する100万台は、AT&T以外の通信網で使用できるようロックが解除されていたと予測している。仮に、iフォン販売台数が2008年末までに目標の1000万台を達成しても、その30%がロック解除されているとすれば、アップルの売上高は市場予想を5億ドルも下回ることになる。
米調査会社ストラテジー・アナリティクスによると、2007年にiフォンの世界販売台数(欧州で販売している)は230万台となった。市場シェアは0.6%と、予想を下回っている。【1月25日、29日】
(2)シスコシステムズ
シスコは、IT管理者が異なるシステムを通信網上で統合できるデータセンター向けの技術「シスコ・ネクサス7000シリーズ」を公開した。製品は、「シスコ・ネクサスOS」を利用し、毎秒15テラバイトでデータを転送できる。また、仮想環境を通じてトラフィックを分割できるシスコ・トレスティッド・セキュリティ(Cisco Trusted Security)アーキテクチャを備えている。【1月29日】
シスコは、カナダ電話会社大手ベル・カナダとIPベースのマネージド・サービスを提供することで合意した。同社は今後、カナダの法人市場向けに、統合コミュニケーションをはじめ、音声通信、無線通信、IPセキュリティなどを提供していく。手始めとして、2008年の第2〜3四半期に、IT労働者の訓練施設であるナレッジ・マネジメント・センターをトロントとモントリオールに開設する。調査会社オーバム(Ovum)によると、カナダのマネージド・サービス市場は、2007年の12億ドルから2009年は60%増以上の19億5000万ドルに達する見通しだ。【2月21日】
(3)ヒューレット・パッカード(HP)
HPは、企業顧客向けに文書や広告物の印刷を管理するアプリケーションを開発しているエクストリーム・ソフトウェア(Exstream Software)を買収する。買収金額などの詳細は明らかにされていない。エクストリームは、金融や保険をはじめ、政府機関、小売り、電話会社、運輸、旅行、ホテル、公益事業を含む様々な業界に400社以上の顧客を持つ。従業員数は300人を上回る。HPは昨年11月、独自ブランドのデジタル・カメラ製造から撤退し、印刷事業に資本を集中させる方針を打ち出している。【1月23日】
HPは、自社で手がけるDVDオン・デマンド事業で、ソニー・ピクチャーズ・ホーム・エンタテインメントと提携した。ソニ−・ピクチャーズは、同サービス向けに映画コンテンツを提供していく。HPのオン・デマンド事業は1年ほど前に立ち上がったが、これまで大手映画会社との契約がなく、ソニー・ピクチャーズが初めてとなる。HPはこれまでに、コンテンツ提供会社40社と提携し、約5000作品をコンテンツ・ライブラリとして持つ。ソニー・ピクチャーズが提供する具体的な作品名、また販売価格は明らかにされていない。【1月25日】
HPの11−1月期決算は増収増益となった、ノート型パソコン(ラップトップ)やサーバの販売が好調だったのが要因。また、パソコンなど一般消費者向けシステム部門の売り上げは24%増の108億ドルだった。【2月21日】
(4)IBM
M&A(企業買収)のリサーチおよびニュースを金融機関向けに提供するマージャーマニア(mergermania.com)は、IBMが半導体メーカー大手アドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD)を買収するというアナリストの見解を掲載した。しかし、多くのアナリストがその可能性に懐疑的だ。AMDの業績は芳しくなく、技術的にも競合インテルに押され気味。 IBMとAMDは、これまでにも半導体事業で提携してきたという経緯がある。さらに、AMDはIBMの半導体製造加工技術を採用していることもあり、こうした買収説が浮上した模様。しかし、IBMは近年、ビジネス・ソフトウェアやITサービス業務に注力しており、製造部門を筆頭にそのほかの事業を切り離している。そうした戦略転換期にあるIBMがあえて半導体事業を拡張するのか、疑問視されている。【2月8日】
(5)インテル
インテルは、携帯機器が高速無線LAN技術Wi-Fiとワイマックス(WiMAX)を切り替えて使えるようにする技術を披露した。ノキアとノキア・シーメンスも共同開発企業として参加している。同技術は、Wi-Fiとワイマックスの間でネットワークを切り替えてもデータ通信が中断されることがないのが最大の特徴となっている。受信環境の変化や格安のネットワークを検知し、一方の通信が遮断される前に新しいネットワークでのデータ通信を確立する仕組みだ。インテルは、スペインのバルセロナで開催されたGSMAモバイル・ワールド会議(GSMA Mobile World Congress)で披露した。ノキアがクライアント機の開発を手がけ、ノキア・シーメンスは通信網基幹設備の開発を担当した。【2月12日】
(6)マイクロソフト
マイクロソフトは、仮想化技術(バーチャライゼーション)を実装した新製品「ウィンドウズ・サーバー2008ハイパーV(Windows Server 2008 Hyper-V)」を2008年第3四半期に投入する。同社は、これを手始めに仮想化技術の事業を強化していく方針だ。同社はまた、仮想化技術関連グラフィクス技術開発のカリスタ・テクノロジーズ(Calista Technologies)を買収する。仮想化技術は、ハードウェアと電力にかかる費用を削減したい企業の間で採用が進んでいる。調査会社IDCによると、昨年の仮想化技術市場規模は13億ドルに達し、2011年までには3倍に拡大する見通しだ。【1月23日】
マイクロソフト10〜12月決算は増収増益となった。歳末商戦期におけるパソコンの世界販売が好調だったのに伴い、ウィンドウズ・ビスタやオフィスの販売が大きく伸びた。第4四半期の売上高では、同社の過去最高記録を上回った。2007年1月に発売されたビスタは、累計出荷本数が1億本を突破した。 【1月24日】
マイクロソフトは、ヤフーに446億ドルの買収金額を提示した。同社としても、検索エンジン市場で圧倒的な力を持つグーグルに対抗するために、ヤフーとの合併は必至と見ているようだ。これに対して、グーグルのエリック・シュミッツ最高経営責任者(CEO)は、ヤフーへの協力を申し出た。グーグルとしても買収によってマイクロソフトの敵対買収を阻止したいところだが、独占禁止法に抵触する可能性が非常に高いため、買収案を提示するのは難しいと見られている。
ヤフーの役員会は、マイクロソフトの提示額が低すぎるとして、買収案を却下した。さらに、敵対買収を阻止するために、従業員の退職金を増額するなどの手段を講じている。一方、ヤフーの役員会の中では、マイクロソフトの提案を受け入れるべきとの声も出ており、意見が分裂し始めている。マイクロソフトは今のところ買収金額の引き上げる考えがないことを示している。【2月1日、2日、20日】
マイクロソフトは、社内で進行中の広告関連プロジェクトを公開した。プロジェクトの1つは、特定の検索語を基に広告キャンペーンの成功見通しを予測する「アドセンター・ラボ」。また、動画内で広告表示するのに最も適切なタイミングを探す技術もある。例えば、動画を再生中に画面右下に広告主のロゴを10秒にわたって表示したい場合、どの10秒間がコンテンツの画面に最も影響しないかを検出する仕組みだ。別プロジェクトでは、音声認識を使って動画の台詞を原稿として起こし、その内容から判断してふさわしい広告を表示する技術の開発もある。また、マイクロソフトが昨年発表したタッチ・スクリーン・テーブル型の次世代機種「マイクロソフト・サーフェイス」を応用したキオスクも披露された。同技術は、スクリーン上に置かれた商品を判別して、ディスプレイ上に表示できる。【2月7日】
マイクロソフトは、HD DVDドライブ内蔵Xボックス360の販売価格をこれまでの260ドルから130ドルに一気に値下げした。HD DVDが次世代DVD規格競争で不利になる中、HD DVD対応のXボックス360を早急に売り切りたいと考えているようだ。さらに、今後、マイクロソフトが同製品を出荷しないという意向の表れと見られている。HD DVDを率先してきた東芝は19日、同事業からの撤退を決めた。事実上、次世代DVD規格争いに終止符が打たれた格好だ。実際には、ワーナー・ブロスの寝返りが決定打となった。東芝の事業撤退費用は数百億円になる見込み。【2月8日、2月20日】
マイクロソフトは、一般消費者向けスマートフォン・メーカー、デンジャー(Danger)を買収する。デンジャーはこれまで、グーグルを含む複数の企業から買収を提示されていたが、マイクロソフトが買収価格を当初の2倍に引き上げたことで落ち着いた。同社はデンジャーの買収により、スマートフォン市場で攻勢をかける。デンジャーは、アップルの技術者3人がアップルを退社して2000年に設立。これまでに「サイドキック」というヒット商品を出している。【2月13日】
マイクロソフトは、これまで一部しか公表してこなかった「ウィンドウズ・ビスタ」や「オフィス」の技術情報を無償で公開する方針を明らかにした。また、将来のバージョンについても公開を約束した。今後は、ネットを通じて社外から自由に情報を閲覧できるようにする。これは、マイクロソフトが申し入れている買収をヤフーが受け入れた場合、欧米の独禁法当局からの審査を受けるのは確実なため、その回避策と見られている。【2月21日】
(7)グーグル
グーグルは、マレーシアに世界最大規模のサーバ施設を設置する案を検討している。関係筋が明らかにした。現段階では、マレーシアのほか、インドとベトナムも候補地に挙がっている。現在、グーグル側は公共エネルギーの料金で優遇措置を求めるなど、マレーシア政府が受け入れることの困難な要求を突きつけている模様。このため、両者の協議は難航しているという。【1月25日】
グーグルは、ドメイン名の転売行為「ドメイン名テイスティング(domain name tasting)」の撲滅に乗り出すことを明らかにした。これは、個人や法人とは直接関係ないドメイン名を暫定的に所有し、ウェブサイトに広告掲載枠を設けて広告収入を上げ、その後高額で転売する手法。ドメイン名の登録は通常5日以内にキャンセル費用が発生しない。その期間を利用して登録をキャンセルして転売する仕組み。これに対して、グーグルは、テイスティングの疑いのあるドメイン名を見つけ出し、同社の広告サービス「アドセンス(AdSense)」の広告出稿対象からそれらを除外することにより、ドメイン名所有者が広告収入を得られないようにする。テイスティング行為は大企業の間でも問題になっている。ヤフーは昨年10月、同社が所有する登録商標がテイスティング行為にさらされているとして、複数のドメイン名登録会社を訴えている。また、デルとBMWも同様の訴訟を起こしている。【1月28日】
グーグルと世界4位の広告会社ピュビリシス・グループが、過去1年以上にわたって密かな提携関係を結んでいることが明らかになった。両社はこれまで、デジタル広告の分野で協力してきたという。提携の内容や金額に関する詳細は明らかにされていない。【1月28日】
グーグルの10〜12月決算は増収増益となった、ただし1株当たり利益が予測を下回ったことから、株価が落ち込んでいる。【2月1日】
グーグルは、法人顧客向けに販売している電子メール保護サービスの価格を引き下げ、利用者1人あたりにつき年間3ドルからの値段で提供する方針を明らかにした。価格的には破格であり、マイクロソフトをはじめ、多くのサービス提供社に影響を及ぼすと見られている。グーグルの電子メール保護サービスは、自社の電子メール・サービスであるGメールほか、マイクロソフトのエクスチェンジやIBMのロータス・ノーツ、ノベルのグループ・ワイズなど、企業でよく使われている電子メール・システムにも使用できるのが特徴。スパムやマルウェアのフィルタリング機能を含む基本料金が年間3ドル。一方、ウイルス探知や送信メールのスクリーニング、コンテンツ・ポリシーの順守確認といった高度な機能を含むサービスは同12ドルとなっている。電子メールのアーカイブ作成や法規制順守の確認を含むサービスは同25ドル。【2月6日】
携帯電話メーカー世界最大手フィンランドのノキアは、グーグル製検索エンジンを自社製携帯電話機に組み込んでいく。当面は高性能機種「Nシリーズ」に搭載するが、将来的に対象機種を増やしていく。【2月12日】
2007年第4四半期のオンライン広告市場で、グーグルの市場シェア前四半期比0.5%減の23.7%に低下した。同社のシェアが低下したのは過去2年間で初めて。調査会社IDCが発表した。IDCはまた、同期におけるグーグルの純利益は、前年同期比40%増と、全四半期の同比50%増から落ち込んでいる点を指摘し、成長鈍化を予測している。IDCによると、検索、表示、リッチ・メディア広告を総合したグーグルのシェアは同期33.4%だった。【2月14日】
グーグルは、検索エンジンでの検索結果連動型広告に動画広告を試験的に開始する。広告主は、動画広告の掲載を選択できるが、テキストと動画の双方をクリックした場合でも1回として数えて課金する。広告主は、テキスト・リンクに使われる語句に入札するのと同様に、動画広告でも検索対象となる語句に入札することになる。グーグルが自社の検索サイトで動画を提供するのはこれが初めてとなる。【2月20日】
主な企業の決算報告:
企業名 |
四半期売上高 |
前年同期比 |
四半期純益 |
前年同期比 |
HP |
285億ドル |
13.0% |
21億ドル |
38.0% |
マイクロソフト |
160.67億ドル |
30.0% |
47.7億ドル |
79.0% |
グーグル |
48.3億ドル |
51.0% |
12.1億ドル |
17.0% |
2. パーソナル・コンピュータ(PC)とOS
(1)デルは、米国内にある140店の直営販売店「デル・ダイレクト・ストア」を閉鎖する方針を明らかにした。同社はもともと電話やオンライン注文による直販で業績を挙げていた、その後2002年に実在店舗による直販を開始し、全米各地に直営店を設置していた。しかし、最近では、家電小売店との関係を強化し、店頭でのデル製パソコン販売も増えていたため、直営店の閉鎖に動いたもよう。
一方、同社は、アドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD)製チップを搭載したほとんどの消費者向けパソコン機種のオンライン直販を打ち切った。今後は、小売店と通信販売で販売し続ける。また、企業顧客向けにはAMD製チップ搭載機のウェブサイト直販を継続する。デルの直販が減少することで、AMDにとって大きな打撃になるとの見方も強まっている。【1月31日、2月17日】
(2) サン・マイクロシステムズは、デスクトップのオープンソース仮想化(バーチャライゼーション)技術を開発する新興企業のイノテック(Innotek)を買収した。買収金額などの詳細は明らかにされていない。イノテックは、仮想化技術ツール「バーチャルボックス(VirtualBox)」を開発し、2007年1月に配布を開始した。サンもサーバ向け仮想化技術「xVMサーバ」を提供しているが、イノテックの技術がOS上で動作するのに対して、サンの技術はハードウェアの直接インストールする。また、バーチャルボックスは、ウィンドウズやリナックス、マッキントッシュ、ソラリスに対応する。サンが同社の技術に目をつけた1つが、この「クロスプラットフォーム」で、今後はデベロッパーに広くサンの技術を提供できると期待している。【2月13日】

3.インターネットとメディア・ビジネス
(1) 動画配信サービス大手ユーチューブは、携帯機器向けアプリケーション「ユーチューブ・フォー・モバイル」のアップグレード版を発表した。同社は、モトローラやLG、ヘイロー、ノキアと提携している。最新版では、通常のユーチューブと同じように動画をアップロードして共有できるほかコメントも書き込める。アプリケーションは無料のジャバ・プログラムで、Java対応機種のみとなっている。専門家は、親会社のグーグルが、携帯電話会社と直接取り引きし、ユーチューブを通じて電話機メーカーとの密接な関係を築く“巧妙”な戦略と見ている。【1月25日】
(2) ネット・ビデオ技術業界の技術見本市である「デモ08(DEMO 08)」がカリフォルニア州パーム・デザートで1月終わりに開催された。会場には、77社が参加し、動画をより高画質にする技術や利益をあげるためのツールを披露した。
その中の1社、スクイッドキャスト(Squidcast)は今回、高精細(HD)カムコーダーで撮影したフル解像度の動画を友達や家族の間で自由に無料転送して再生できるサービスを紹介した。サービスには、カザー(KaZaa)などで使われているピア・ツー・ピア(P2P)方式が使われている。同サービスの収入モデルは、利用者がダウンロードする際に短い動画広告を表示することで広告収入を得る仕組み。
アサンキャ(Asankya)は、大容量データを細分化して無数の通信網ルートに乗せる技術「ハイパーメッシュ(Hypermesh)」を開発した。動画の転送を受注した後、それら個々の動画データを発注者のコンピュータに転送する。
そのほか、類似サービスを3ヵ月前に立ち上げたビットグラヴィティ(BitGravity)、著作権保護動画データを識別する高性能のスキャン・ソフトを開発したアイアライク(Eyealike)やビジブル・メージャーズ(Visible Measures Corp.)といった企業がある。【1月28日】
(3) ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のフェイスブックは、Amazon.comと開発環境の提供で提携した。両社は、Webサービスに対応したアプリケーションを開発できる環境を整備する。具体的には、フェイスブックは、Amazon.comが提供するホスティング・サービス「EC2」およびストレージ機能「S3」にアクセスするための接続プログラム(コンジット)を独自に開発した。フェイスブックのデベロッパーはこれまでにもAmazon.comのWebサービスを利用できた。しかし、今回の提携によって価格設定が明確にされ、アプリケーションを使った分だけ支払ういわゆる「ペイ・アズ・ユー・ゴー」方式で課金されることになる。例えば、フェイスブックで配布されているブーズ・メール(Booze Mail)、アイライク(iLike)、ソーシャルモス・シークレッツ(SocialMoth Secrets)は、Amazon.comの技術をベースにしている。【1月25日】
(4) ルイジアナ州の新興企業であるネットワーク・ファウンデーション・テクノロジーズ(NFT=Network Foundation Technologies)は、ネットでライブ番組を配信するためのピア・ツー・ピア(P2P)技術を開発した。同社の技術を使うと、現在必要とされている帯域幅を50%削減できる。すでに民間企業も興味を持っており、例えば、アリーナフットボール2(arenafootball2)は3月からNFTの技術を使ってリーグ戦の試合を配信する計画だ。番組を視聴するには、それぞれのサービス用にカスタマイズされた閲覧アプリケーションをインストールする必要がある。【1月31日】
(5) 米ハイテク大手各社が、オープンID財団(OpenID Foundation)の企業役員会に加わった。今回、新たに参加を表明したのは、IBM、マイクロソフト、グーグル、ベリサイン、ヤフー。オープンIDは、ネット利用者が各種ウェブサイトにアクセスする際に、オープンIDに加盟するウェブサイトならどこでも単一の利用者名とパスワードでログインできるようにする仕組みだ。現在、1万を超えるウェブサイトがオープンIDを支持している。オープンIDフレームワークは現在、2.0版(Version 2.0)が出ている。【2月7日】
(6) オンライン・ビデオ・レンタル最大手ネットフリックス(Netflix)は、次世代DVD規格の映画DVDについて、ブルーレイ(BD)規格に絞る方針を明らかにした。同社はこれまで、ブルーレイとHD DVDの両規格による映画DVDを取り揃えていたが、ワーナー・ブロスが BDへの一本化を表明したのを受けて、一本化を決めた。ネットフリックスは今年末までに、HD DVDの在庫をなくす計画だ。東芝は今月、すでに撤退を決めたことから、ネットフリックスのHD DVD廃止は確実となった。 【2月14日、21日】

4.電子商取引とITサービス
(1) Amazon.comは、オンライン楽曲配信サービス「アマゾンMP3」で、デジタル著作権管理(DRM)技術を装備しない楽曲の世界配信を2008年中に開始する。サービスが開始されれば、主要レコード会社4社をはじめ独立系レコード会社数千社から、DRMなしで楽曲をダウンロードできるのは同社のサービスのみとなる。アマゾンMP3は昨年9月に開始された。【1月28日】
(2) 米国のスーパーマーケットがここに来て、紙を使わないデジタル・クーポンの利用促進を目指している。同業界は、いまだ新聞の折り込みや郵送による切り取り式の紙クーポンが主体となっている。しかし、デジタル化の波が同業界にも押し寄せている。例えば、米スーパー・チェーン最大手のクローガーと生活用品最大手プロクター&ギャンブル(P&G)は、2007年12月からデジタル・クーポンの試験運用を共同で開始している。デジタル・クーポンは、消費者が店のウェブサイトに事前にアクセスして登録する。後は、自分の顧客カードに割引情報が記録され、買い物に行った時にレジでその分の値引きを受けられる仕組みだ。デジタル・クーポンの利用によってウェブサイトへ顧客を引きつけると同時に、普段は紙のクーポンを利用しない消費者も引きつけることができる。スーパー業界では一般に、クーポンによる消費者の節約額は年間約30億ドルと推測されているが、利用率はわずかに1%。【1月29日】
(3) NFBとソフトウェア開発会社レイ・カーズウェイル(Ray Kurzweil)の合弁事業K-NFBリーディング・テクノロジーは、目の不自由な人のために文書を読み取って音声に変換する携帯電話機を開発した。実際に、全米盲人協会(NFB)のクリス・ダニエルセン広報担当者が電話機で紙幣を撮影すると、電話機は数秒後に「20ドル」と音声を発するデモを披露した。撮影されたテキストを音声に変換することで、紙幣の区別はもちろん、レストランのメニューから電話帳やファックスまで、あらゆる印刷物を読み取ることが可能になる。ソフトの価格は1595ドル、電話機は約500ドルになる見込み。【1月29日】
(4) Amazon.comは、オーディオ書籍を提供するオーディブル(Audible)を約3億ドルで買収する。オーディブルは、スティーブン・キングの著作を含む数千冊のオーディオ書籍を販売している。2007年の9ヵ月間で7870万ドルの売り上げを記録している。製品はネットからダウンロード後にiポッドやMP3機器で再生できる。コンテンツは、アップルのiチューンズ・ストアでも販売されている。買収手続きは第2四半期に完了する見込み。【1月31日】
(5) エムファインダーズ(EmFinders)は、老人性痴呆症などによる徘徊者を迅速に見つけ出す電子モニタリング・システムを開発した。同社の技術は、ブレスレットや時計バンドに組み込める無線発信機。例えば、発信器を装着している人の行方がわからなくなった場合、警察とエムファインダーズのコール・センターに連絡すると、同センターがブレスレットの無線発信機を遠隔作動させ、無線通信網で911に直接連絡して本人の居場所を突き止める。テキサス州オースチンの警察とアルツハイマー協会の強力で実施した実験では、わずか10秒で行方不明者の居場所を15フィート以内に絞り込んだ。
エムファインダーズは今夏までに新技術の市販化を目指す。価格は、機器自体が約100ドルで、月額10〜15ドルのサービス料金を請求する。全米には、現在、510万人のアルツハイマー患者がおり、痴呆症の10人に6人が徘徊しているという。【2月7日】

5.半導体とハードウェア技術
(1) 新興企業ファブリック(Fabric)は、特殊なストレージ・ソリューションを開発している。同社は、特定業界に提供することでニッチ市場を開拓している。ファブリックは設立2年の新興企業ながら、外付けストレージを開発するシンプル・テック、小型外付けストレージを開発するジーテクノロジーを相次いで買収している。同社は、特定の産業に注力する、いわゆる「バーティカル市場」に特化して、特定業界向けに高機能高性能のデータ保存ソリューションを提供している。例えば、ジーテクノロジーの顧客の多くは、アップル社製映像編集ソフト「ファイナル・カット・プロ」の利用者だったことから、ファブリックは映像編集業界向けに、高精細(HD)映像編集やそのほかのグラフィック関連アプリケーションを多用する環境向けにストレージ・ソリューション「G-RAID Mini with RAID0」を提供している。製品は、ファイアーワイヤー800、同400、USB2.0のポートを持ち、マックとPCに簡単に接続できる。【1月30日】
(2) インテルがアップルの最新ノートブック「マックブック・エア(MacBook Air)」のために開発したプロセッサが、ウィンドウズ系のラップトップ製品にも使われる見込みだ。すでに2社のパソコンメーカーがマックブック・エアに搭載されている小型化されたインテル・コア2デュオ(Intel Core 2 Duo)を採用することでインテルと合意しているという。アップルはマックブック・エア開発のために、プロセッサの大きさを通常の60%に小型化するようインテルに注文していた。マックブック・エアは、最も薄い部分がわずかに0.4センチメートル、重さ1.3キログラムとなっている。【1月31日】
(3) 2007年第4四半期(10〜12月)における北米地域の液晶テレビ市場は、ソニーが市場シェア(台数ベース)で12.8%を占め、9.7%で4位だった前期から初めて首位に躍り出た。調査会社のディスプレイサーチが発表した。年末商戦で、大手小売チェーンがハイビジョン対応の大画面テレビの販売に力を入れたことなどが奏功した。2位は韓国サムスン電子の12.3%、3位は低価格製品で市場を拡大しているビジオ(米新興メーカー)の10.7%。前期11.3%で首位だったシャープは8.4%で4位に後退した。【2月6日】
6.その他(通信、政府・議会動向など)
(1) 高速無線LAN技術Wi-Fiの世界通信網を構築するフォン(FON)は、サンフランシスコでWi-Fi接続サービスを展開する。フォンが構築を進めているのは、同市内でも商業・住居区が混在するカストロ地区。同社はルータ「ラ・フォネラ(La Fonera)」を無料で提供する代わりに、ネットワークを自社のネットワークに組み込む。同市内では、これまでにもグーグルとアースリンクがWi-Fiサービスの提供を試みて失敗したほか、企業と政府が共同で進めた合弁事業によるサービスも昨年8月に資金不足で打ち切られた。今のところ同市で現在進められているのは、スタートアップのメラキ・ネットワークスによる構築計画だけとなっている。ラ・フォネラは、所有者の個人的通信用の帯域幅と、ほかの会員がアクセスできる公衆通信用の帯域幅を分離できるようになっている。【1月23日】
(2) FCC(連邦通信委員会)による周波帯域(700メガヘルツ)の競売が1月24日から開始された。帯域は、5つのブロック(A-Fブロック)に分けて競売されているが、計214社が入札に参加している。今回の競売は、すべての入札が提出された時点で終了する。この中でも注目されているのは、Cブロックの行方だ。同ブロックは、競合社の携帯機器やアプリケーションも使えるよう落札社が通信網を開放するよう義務づけられている帯域だ。例えば、グーグルがCブロックを落札すれば、グーグルの携帯電話サービス「ジーフォン(グーグルフォン)」が登場し、第三者開発業者による種々のアプリケーションに対応する画期的なサービス実現も期待される。また、ケーブルテレビ(CATV)会社が落札すれば、CATVと高速ネット接続、電話サービスという「トリプル・プレイ」に、独自の通信網による携帯電話サービスを加えた「クアッド・プレイ」を提供できる可能性も高まる。同ブロックの入札は、FCCが設定した最低入札額46億4000万ドルを超えて、47億1000万ドルの入札があった。
一方、警察や消防当局が緊急時に優先的に利用できるDブロックは人気がない。入札が最低額に達しない場合は再競売が予想されるが、政府は今後、価格の引き下げなど、諸条件の見直しを検討する方針だ。【1月25日、30日、31日、2月4日】
(3)米ソフトウェア・情報産業協会(SIIA)は、現行の移民法が優秀な労働力の国外流出を招くと警告している。同協会は、売上高で見てもソフト産業の方が食品加工業よりも大規模である点を指摘し、米国の大学を卒業した外国人への就労ビザ(H1-B)やグリーン・カード(永住権)の発給数を大幅に増やすよう訴えた。SIIAによると、ソフト・ベンダーおよびデジタル・コンテンツ・プロバイダーは2006年、計270万人を雇用した。ただし、そのうちの外国人労働者がどのくらいの割合で占めるのかは明らかにしていない【1月25日】
(4) スプリント・ネクステルは、無線高速ネット接続サービスを提供するクリアワイヤー(Clearwire)と合弁会社設立に向けた交渉を開始した。合弁が設立されれば、高速無線通信規格のワイマックス(WiMAX)ネットワークを構築していく。両社は昨年11月に、提携事業に関する交渉を白紙に戻した経緯がある。しかし、スプリントは主力の携帯電話サービス事業の不振を受けて株価が低迷している。そうした中で、50億ドル規模のワイマックス事業を単独で進めるのが困難になっており、これまでも見直しを図っていた。専門家は、グーグルやインテルといった第三者から資金を調達する可能性が高いとみている。スプリントはワイマックス・サービスを一部市場ですでに開始しており、今年末までにサービス圏を一般消費者1億人に広げることを目標に掲げている。【1月30日】
(5) 米ハイテク業界は、環境保護への取り組みを積極的に進めている。例えば、HPは、プリンタ用インク・カートリッジに再生プラスチックを使用すると発表した。このプラスチックには、工業廃棄物だけでなく、再生ボトルのように消費者が使っていた廃棄物も利用される。HPは今年、計1000万ポンドの再生プラスチックを使う予定だ。一方のインテルは、風力や太陽光発電といった「グリーン・パワー」を年間130万キロワット時間以上購入する予定だ。これは約13万3000世帯の電力需要を満たす規模であり、「再生可能エネルギー市場への投資」と同社では説明している。
一方、IBMは、発明家が環境を守るための知識を共有できる「エコパテント・コモンズ(Eco-Patent Commons)」を開始した。同プログラムは、環境に優しい業務方法や素材の特許保持者が無料でそれを提供し皆に自由に使ってもらうというもの。IBM自身は電子製品の製造に使われる洗浄方法と、環境に優しい梱包材の特許を提供する。そのほか、ノキアやソニー、ピットニー・ボウズも、エコパテント・コモンズに特許を寄付している。
パソコンメーカーや家電メーカーにもこうした動きが浸透している。例えば、デルは2007年に再利用イニシアティブを通して最もグリーンなIT企業になると宣言している。さらに、アップル、パナソニック、サン・マイクロシステムズ、モトローラでも、環境保護プログラムを本格的に指導させている。
一方、専門家によると、ハイテク業界の取り組みはまだまだ規模が小さく、決して「環境に優しい」とは言えないというきびしい指摘もある。【1月31日】
(6) オーストラリアのベンチャー・キャピタル(VC)がシリコンバレーへの進出を強化している。そのうちの1社,シドニー拠点のサザン・クロス・ベンチャー・パートナーズ(Southern Cross Venture Partners)は、米国への進出を果たした1社。同社は、VC投資が非効率的なオーストラリアとニュージーランドの新興企業の中から将来有望の企業に投資して米国で成長させるという戦略だ。VCファンドの規模は1億5000万ドル。同社が投資する1社、特殊コーティングを開発するゼロコート(Xerocoat)は、拠点をオーストラリアからカリフォルニア州レッドウッド・シティに移転させた。もう1社の電子取引システムを開発するマンタラ(Mantara)も、シドニーからニュージャージー州ジャージー・シティに移転している。同社によるとオーストラリアとニュージーランドのVC業界は米国に比べて15〜20年後れているという。こうした中、自国の企業を米国へ進出させるという戦略は同国のVCにとって新たなトレンドとなる可能性がある。【1月31日】 |