1. 企業動向
(1)アップル
調査会社大手フォレスター・リサーチは、アップルが今後5年間の間に“一般家庭の居間を制する”と予測している。同社のアナリストは、一般家庭が向かっている方向性とアップルが目指している方向性が重なっている点を指摘している。また、アナリストは、アップルが今後、(1)自社製品を含む家庭内のすべてのAV機器を一括操作できるリモコン(2)サーバに接続するデジタル写真立てと目覚まし機能付きラジオ(3)AV機器のインストール・サービス(4)家庭用デジタル・ライフ関連商品を取り扱う小売店の展開(5)iチューンズの機能拡張(遠隔操作など)を展開していくとみている。 【5月23日】
アップルは、太陽電池を携帯機器に組み込む技術「携帯機器用の太陽電池」の特許を申請した。申請書によると、この太陽電池は、iフォンやiポッド・タッチへも搭載できる。携帯機器は太陽電池用パネルを搭載できる面積が限られているため、これまで搭載が難しかった。また耐久性も問題の1つだった。これに対して、アップルは、液晶ディスプレイ画面の後ろ側にソーラー・パネルを組み込むことでこの問題を解決した。これは、周辺光が液晶ディスプレイ画面を通過し、ソーラー・パネルに吸収される仕組みだ。【5月28日】
アップルは、9月の新学期に合わせた販促キャンペーンを開始した。販促内容は、マックブック、マックブック・エアー、マックブック・プロ、iマック(20インチまたは24インチ)、マック・プロを購入する学生や教師、学校関係者が、同時にiポッド・タッチを買う場合に299ドルの割引、iポッド・ナノを買う場合に199ドルの割引を提供するというもの。期限は、9月15日まで実施する。iポッド・タッチの一番安い製品の場合、割引価格と販売価格が同額のため、事実上の無料提供ということになる。【6月3日】
アップルは、第3世代(3G)対応のiフォンを7月11日から発売開始する。同社は、新製品の価格を従来の半分に下げ、199ドル(8GB)と299ドル(16GB)の2種類を提供する。バッテリの寿命は、ウェブサイト閲覧で6時間、通話なら5時間となっている。また、今回は、第3者がアプリケーションを開発して提供できる「アップ・ストア(App Store)」機能を搭載する。同社はすでに、SDK(ソフトウェア開発キット)を公開しており、これまで25万回ダウンロードされたという。
一方、通信業界の専門家によると、AT&Tは、3Giフォン1台当たり425ドルの補助金をアップルに支払う見通しだ。この額は、通常、携帯電話会社がスマートフォン・メーカーに払う金額の倍以上になる。内訳は、AT&Tがアップルにiフォン1台当たり325ドルを支払い、さらに、アップルがiフォンを1台販売する度にAT&Tが100ドルを支払う仕組み。一方、高額の補助金を相殺するために、AT&Tはiフォン加入者の料金プランを高めに設定している。加えて、加入契約期間が2年間となるため、長期的に他機種よりも売り上げが高くなる。一方、補助金の額が1台当たり466ドルと推測するアナリストもいる。【6月9日、20日】
(2)シスコシステムズ
シスコは、デンマークのデジタル・ビデオ管理ソフトを開発するディビテックを買収する。買収金額などの詳細は明らかにされていない。ディビテックの管理支援ソフトは放送事業者向けで、特定地域にニュースを配信するネットワークの管理を支援する。シスコは、ディビテックの買収により、ビデオ分野への事業拡大を図っていく。買収手続きは5-7月期中に完了する予定。【6月10日】
(3)デル
デルの2-4月期決算は、アナリストの予測を上回る増収となった。主力製品となるノート型パソコン(ラップトップ)やサーバの売り上げが好調だったことが奏功した。また、過去1年間で人員を5%削減したリストラ効果も見られた。売り上げを地域別に見ると、日本を含むアジア・太平洋地域が18.6%増と好調だった。一方、米州地域は0.6%増とほぼ横ばいだった。機種別に見ると、ラップトップの売り上げが22%増、企業向けサーバの売り上げが4%増だった。【5月30日】
(4)ヒューレット・パッカード(HP)
HPの2-4月期期決算は増収増益となった。海外市場、特にBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)を中心とした新興市場が好調だった。売り上げは、米国外が全体の70%を占めている。【5月21日】
HPは、プラスチックを再利用したインクジェット・プリンタおよび関連サービスを発表した。環境に重点を置く事業戦略の一環。新型プリンタでは、筐体に使用するプラスチックの83%が再利用素材となっている。また、包装にも100%の再利用素材が使われている。HPはさらに、企業各社が印刷用紙の使用量を削減するための支援サービス「エコ・プリンティング・アセスメント(Eco Printing Assessment)」を提供する。同サービスでは、最新プリンタと旧式プリンタの電力消費量を比較できる計算機を提供する。また、省エネ・プリンタに対しては、認証として「エコ・ハイライト(Eco Highlights)」と呼ばれる表示を製品に貼り付ける。同表示を受けた製品は、環境保護を重視した製品やサービスとして連邦政府が認める「エナジースター(EnergyStar)」と格付けされたことを証明する。HPは今後、プリンタを自動的にスリープ・モードにするオート・オン/オート・オフ機能を2009年に下位機種に導入する予定。その後は、高位機種にも導入していく。HPは、印刷用紙に計画的森林伐採によって生産された製紙用の木だけを使用している。来年からは、写真印刷用紙でもその割合を現在の80%から100%に引き上げる。
【5月23日、6月19日】
HPは、2008年第1四半期(1-3月)における世界のサーバ市場(売り上げベース)でIBMを抜き首位に立った。調査会社ガートナーが発表した。HPの売上高は40億ドルに達し、市場全体の29.6%を占めた。最大の要因となったのは、同社の人気サーバ製品「プロライアント(ProLiant)」と「インテグリティ(Integrity)」の好調な売り上げだった。一方、2位となったIBMの売り上げは39億ドルで、市場シェアが28.9%だった。世界のサーバの売上高は同4.3%増の136億ドルだった。【5月27日】
HPは、2009年1月以降に北米で出荷するパソコンにマイクロソフトの検索サービスのライブ・サーチ向けツールバーを標準搭載する方針を明らかにした。ツールバーはパソコン画面上部に表示される検索機能。利用者が検索語を打ち込むと、結果が一覧表示される仕組み。現在、米国ではグーグルが検索市場のシェア61.5%(4月、コムスコア社調べ)を占めて独走中だ。これに対してマイクロソフトのシェアはわずか9.1%。HPとのて提携によって自社サービスの普及に弾みを付けたい考えだ。【6月3日】
HPは、台湾のパソコン大手である宏碁電脳(エイサー)との特許紛争で和解したことを明らかにした。これにより、両社はこれまで訴えてきた件に関する法的措置を取り下げる。これまで、両社の間には、米連邦地裁に起こされた3件と、国際貿易委員会(ITC)による2件があった。双方の法廷争いは、逆提訴による逆提訴などで泥沼化しつつあった。【6月9日】
HPは、タッチ・スクリーン型ディスプレイを標準装備したパソコン「タッチスマートPC」を7月13日に米国や日本、中国、インドで発売開始する。製品は、指先で画面に触れることで表示画面をスクロールできるのが特長だ。OSにはビスタを採用している。価格は1299ドルから。HPは、使い勝手の良さで売り出し、パソコン市場の掘り起こしを狙う考えだ。また、薄型でもあることから、アップルが発売したマックブック・エアーを意識しているとの見方もある。【6月10日】
(5)IBM
IBMは、新開発したスーパー・コンピュータ(スパコン)「ロードランナー」が世界最速の演算処理能力を記録したと発表した。今回、ソニーのプレイステーション3に使われる半導体「セル」を搭載して挑んだところ、演算速度は、1ペタフロップス(毎秒1000兆回の演算処理を行う)に達したという。演算処理能力は、これまで首位だった同様に同社製のスパコン「ブルージーンL 」の2倍以上になる。ロードランナーは、今後米エネルギー省傘下のロス・アラモス国立研究所に納入され、老朽化した核兵器の性能を調べる模擬実験に使われる予定だ。開発費は1億ドルとなっている。【6月11日】
IBMは、スウェーデン通信機器大手のエリクソンの社内のIT関連の作業を外部委託する。業務内容には、アプリケーションの開発や保守管理などが含まれている。【6月19日】
(6)インテル
インテルは、5月に行われた年次株主総会の席上で、次世代超小型プロセッサ「Nehalem(開発名:ネヘイレム)」の販売を予定通りに今年下半期から開始すると発表した。また、今後は、最新の45ナノメートル超微細加工技術で製造したプロセッサの供給も増やしていくと説明している。今年第3四半期には半分以上が同技術で生産した製品になる見込みだ。【5月22日】
欧州連合(EU)の競争政策当局は、インテルの販売慣行に対して今夏の遅くに正式な決定を公表する見通しだ。EU関係筋の話によると、EUがインテルの競争法違反を認定した場合には、最大で年間売上高の10%に相当する26億ユーロ(41億ドル)の制裁金が科される可能性があるという。また、EU側は既に行動を起こすのに十分な証拠を集めたと自信満々だ。EUはインテルがプロセッサをパソコンメーカーに値引き販売することを禁止するほか、インテルの小売業者への広告費用補助にも制限が課していくとみられている。【5月27日】
連邦取引委員会(FTC)は、独占禁止法違反の疑いでインテルの公式調査に着手した。すでに、日本、韓国、欧州で同様に当局による調査が行われており、同社はさらに厳しい状況に追い込まれそうだ。FTCに対しては、競合のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)が以前からインテルの調査を要請していた。AMDは、インテルがパソコン向けプロセッサの独占的地位を乱用し、リベート供与などを通じ自由な競争を阻害していると主張していた。【6月7日】
インテル、太陽電池モジュール製造会社向けに太陽電池を製造し供給する新会社「スペクトラワット(SpectraWatt)」を立ち上げる。新会社は、インテルから完全に独立した形で運営される。資本は、インテルの投資部門インテル・キャピタル(Intel Capital)が初期投資として5000万ドルを投資している。新会社の手続きは6月中に完了する見込みで、今年後半には事業を開始し、2009年中頃には太陽電池を出荷し始める計画だ。 【6月16日】
(7)マイクロソフト
マイクロソフトは、次期パソコン用OS「ウィンドウズ7(開発コード名)」でタッチ機能を充実させる。タッチ機能は、ディスプレイに直接触れて操作する機能で、Iフォンのような携帯機器などで採用されている。同社は現在、ウィンドウズ・ビスタを販促しているが、ウィンドウズ7の市場導入時期は2010年になる見込みだ。同社によると、ウィンドウズ7の開発は従来の計画通りに進んでいると語った。一方、他の機能については明らかにされていない。【5月29日】
マイクロソフトは、HMO(会員制健康医療団体)最大手のカイザー・パーマネンテと共同で、医療記録管理プログラムの開発を進めている。これは、患者自らが医療記録を管理するのを促し、必要に応じて情報を共有できるようにするもの。まず、カイザーが保管する検査結果などの個人医療記録がマイクロソフトのウェブ・サービス「ヘルスヴォルト(HealthVault)」にコピーされる。そこで、患者は情報の一部共有を許可する仕組みだ。現在は、試験プログラムとなっており、カイザーの従業員のみが対象となっている。一方、競合のグーグルはすでに、レボリューション・ヘルス・グループと提携し、今年2月から同様のサービス「グーグル・ヘルス」を導入している。【6月10日】
(8)グーグル
グーグルは、サンフランシスコで開催した開発者向け年次会議で、携帯電話機向けプラットフォーム「アンドロイド(Android)」公開した。同会場には、およそ3000人の開発者が参加していた。アンドロイドを利用することによって、パスワードを入力する代わりにタッチ・スクリーンに独自の模様を書き込み電話のロックを解除したり、機器自体のホームページにお気に入りウェブサイトをブックマークできる。また、サイト・ページを拡大できる機能も注目を集めた。また、iフォンと異なり、アンドロイドは、トラッキング・ボールにも対応する。すでに34社がアンドロイドの普及で同社と提携しており、アンドロイド対応機種の登場も現実味を帯びてきた。グーグルによると、アンドロイドが市場に登場するのは、早くても今年末になる見込みだ。ただし、一部の専門家は、他社製のアンドロイド携帯電話機が今年の年末商戦期に間に合うかどうか疑問視している。
グーグルはまた、第3者によるオンライン対応アプリケーションの開発の促進を目的として、新規無料サービス「アップ・エンジン(App Engine)」を開始した。これは、コンピュータの演算処理およびストレージを提供するもので500メガバイトのストレージおよび月500万人の訪問者を処理できる。容量を追加する場合には、1ギガバイトあたり月額15-18セント課金される。同社は、年次会議の参加者全員に同サービスを提供している。【5月29日】
グーグルの4月におけるペイドクリック数は前年同月比で19.6%増となった。2月、3月の伸び1桁台だったことから、大幅な伸びを見せている。米調査会社コムスコアが報告した。この結果を受けて、アナリストらは第2四半期の売り上げが好調になるとの見方もある。【5月29日】
グーグルは、米ナスダック市場などを運営するナスダックOMXグループと提携した。提携により、グーグルは、リアルタイムの株価情報の配信を開始した。このほか、ケーブルテレビCNBC、ウォール・ストリート・ジャーナルも同様の提携を結んでいる。これまで提供してきたナスダックの情報は最新のもので15分遅れていた。【6月2日】
グーグルは、ヤフーとオンライン広告配信に関する非独占契約を結んだ。提携により、ヤフーは北米の自社サイトの一部でグーグルの検索連動型オンライン広告を表示する。これにより、年間8億ドル規模の増収効果を期待する。非独占契約にしたのは、独禁法抵触を避けるためだという。これに伴い、ヤフーは、4ヵ月以上に及んだマイクロソフトとの身売りおよび業務提携交渉を打ち切った。【6月13日】
主な企業の決算報告:
企業名 |
四半期売上高 |
前年同期比 |
四半期純益 |
前年同期比 |
デル |
75.12億ドル |
9.2% |
7.84億ドル |
3.7% |
HP |
282.62億ドル |
11% |
20.57億ドル |
16% |
2.パーソナル・コンピュータ、携帯機器とソフトウェア(OS)
(1) 文具小売りチェーン大手のステイプルズは、フレックスプレイ・エンタテインメント(Flexplay Entertainment)が開発した使い捨てDVDを今月から販売する。このDVDは、開封すると48時間で自動的に壊れてしまい、データの再生ができなくなる。パッケージを開けなければ1年間は使用可能。映画会社はこのDVDを使って映画ディスクを販売する。作品には、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(There Will Be Blood)」「ライラの冒険 黄金の羅針盤(The Golden Compass)」「トランスフォーマー(Transformers)」「ドリームガールズ(Dreamgirls)」などが含まれており、価格はブロックバスターのレンタル料と同額の4.99ドルに設定している。 同DVDは、2枚の半月状プラスチック板を特許技術の接着剤でつなげて造り上げたものだ。ディスクを特殊なパッケージから取り出すと、酸素にさらされて素材が化学反応を起こし、その結果、レーザーでの読み取りができなくなる仕組みだ。また、材質には、再生プラスチックが使われている。10年ほど前にも、家電チェーン大手サーキット・シティおよびエンタテインメント業界の著作権を扱う法律事務所が共同で同様のDVDを使ったDVDレンタル・システム「DIVX(デジタル・ビデオ・エクスプレス)」を開発した。しかし、消費者から不評だったためすぐに市場から姿を消した。【6月5日】
(2) 最近では、パソコンとデータ共有できるペンや、デジタル録音ができるスマートペンが登場しつつある。例えば、ライブスクライブ(Livescribe)が開発した「パルス(Pulse)」は、紙に書いたイメージそのまま記録し、パソコンに転送できる。また、内蔵マイクを搭載しているので、書いている最中に音も記録し、再生も可能だ。製品は1ギガメモリを搭載して価格は149ドル。高音質で35時間の録音が可能だ。2ギガメモリ版は199ドル。ただし、使用するには専用のノートを購入しなければならない。一方、ノキアが開発したスマートペン「SU-27W」は、携帯電話機メーカーらしい機能を搭載している。専用の小さなノートに書いたメモをブルートゥースで携帯電話機に転送して画像あるいはテキストとして送信できる。価格は299.95ドル。ただし、録音はできない。さらに、IOギアのスマートペン「モバイル・デジタル・スクライブ」は、液晶表示装置(LCD)スクリーン付きの小さなクリップを付けることによりどんな紙でも利用でき、手書きをそのままコンピュータにデータとしてアップロードできる。ペンの動きは、クリップが超音波と赤外線で認識する仕組み。価格は129.95ドル。【6月10日】
(3) ミネルバ・ネットワークス(Minerva Networks)は、10社におよぶ米電話会社に、同社のIPテレビ(IPTV)技術「iTVマネジャー(iTVManager)」を提供する。iTVマネジャーは、高精細テレビ(HDTV)やデジタル動画録画(DVR)、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、音楽、ゲーム、そして通信アプリケーションなどのテレビ配信サービスと管理を行うためのミドルウェア・プラットフォーム。複数のベンダーから供給されるHD/DVRセットトップ・ボックス(STB)と互換性があるのも特長だ。ミネルバによると、iTVは、テレビ・サービスの迅速な導入を可能にし、基幹設備と運営コストを抑えることができるという。中規模電話会社がケーブルテレビ会社に対抗するための強力な武器となりそうだ。【6月16日】
3.インターネットとメディア・ビジネス
(1) 米国のスマートフォン利用者は、月当たり平均で4時間38分をウェブサイト閲覧に費やしている。その中でも、人気があるのは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とeコマースだ。調査会社Mメトリクス(M:Metrics)が報告した。同社の調べによると、アクセス人気ランキングでは、地域情報サイトのクレイグスリスト(Craigslist)が首位となっている。次いで、eベイ、マイスペース、そしてフェイスブックの順だ。Mメトリクスによると、米国では、過去1年わたりスマートフォンを使ったウェブの閲覧ページ数は前年比127%増を記録した。【5月23日】
(2) ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手フェイスブックは、自社プラットフォームのコードをオープンソース化(フェイスブック・オープン・プラットフォーム)した。これにより、サードパーティの開発者や企業は、フェイスブックのプラットフォームを利用した独自のプログラムを開発できるようになる。今回の戦略転換は、競合グーグルを追随したものと考えられている。グーグルは昨年の11月にオープンソース型のSNSイニシアチブ「オープン・ソーシャル」を発足した。デベロッパは、同イニシアチブに参加するSNSに対して共通のプログラムを開発し提供することができる。同イニシアチブには、マイスペースやリンクドインなど大手SNSも名を連ねている。【6月2日】
(3) 携帯向けビデオ配信サービスを提供するザネル(Zannel)は、ベンチャー・キャピタル(VC)から新たに1000万ドルの資金を調達した。ザネルは、最近投資が増えている携帯機器向けのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を提供する。同社のサービスは、携帯電話機を使って写真やビデオをアップロードしたり、自分のブログを更新できる。外出先でSNSを利用できるほか、電話での会話に切り替えられるという利点もある。現在、携帯機器向けSNS開発が盛んだ。VC業界では昨年の1-9月期におよそ92社が総額4億3120万ドルの資金を調達している。ザネルは今回が2回目の資金調達で、以前に600万ドルの資金を得ている。同社の競合には、RivalKyte.comがある。【6月2日】
(4) オンライン広告のマッチメーカー、ネクストメディアム(NextMedium)が注目を集めている。同社のサービスは、オンライン広告を希望する広告主と掲載先をつなげるのが役目だ。しかし、通常のオンライン広告ではなく、同社が手がけるのは、“プロダクト・プレイスメント”と呼ばれる商品広告だ。プレイスメントは、例えば、映画やテレビドラマの中にロゴ入りの商品を使用することで、そのブランド名を広く浸透させる手法。ネクストメディアムは、プロダクト・プレイスメント専門のマーケットプレイス「エンベッド(Embed)」を設置。広告主は、このマーケットプレイスでショー、ミュージック・ビデオ、映画などを検索する。一方の制作会社は、広告主と広告料を検索することができる。現在、同社のマーケットプレイスには、120社の制作会社と数百の広告主が登録している。また、視聴率などを調査する調査大手ニールセン・メディア・リサーチが処理したデータによって、製品がどのくらいスクリーン上に表示されているのか、その商品がどのような形(背景あるいはアップなど)で表示されているのかを追跡できるのも特長だ。エンベッドの使用料は年間2万5000ドル。ネクストメディアムの収入源は、広告料の一部から受け取る手数料でまかなわれている。【6月3日】
(5) 米国の経済低迷を受けて、2008年はあらゆる情報媒体で広告売り上げが減る可能性が高いが、その一方でオンライン広告が収入を拡大し続けると見られている。調査会社大手IDCが報告した。同社によると、2008年第1四半期(1-3月)の米ネット広告支出は前年同期の57億ドルから23.9%も増の71億ドルを記録した。最大手のグーグルでは、主力の検索結果連動型広告市場が成熟しつつある中、国内売り上げの増加率が減速している。それでも、ほとんどの競合社よりは大きな伸び率を維持している。同社の米市場シェアも23.1%から24.8%に拡大した。IDCのアナリストは、広告主がより効果的なマーケティング・チャンネルを模索し、その結果、ニューメディアに予算が移行していると現状を指摘している。今年は景気後退への懸念によって広告支出が全体として7%縮小するとみられている。一方、オンライン広告は逆に15-20%増を維持する見込みだ。【6月10日】
(6) 企業の給与体系の情報を提供するGlassdoor.comが登場した。同サイトは、特定の企業の給与情報を提供すると同時に従業員による匿名のコメントを掲載する。現在、同サービスは試験段階だが、すでに250社以上から2000件の給与情報および1300人のコメントを集めている。表示される企業の多くは、金融もしくはハイテク企業に集中しているという。今のところ企業からの評判はまずまずのようだ。例えば、同サイトに掲載されているウィンド・リバー・システムズの場合、システム・アドミニストレーション・アーキテクトの年棒が10万ドル、上級技術者の年棒が13万5000ドルと表示されているが、情報が正確だという。また、従業員のリポートも非常に好意的だったという。同社は、従業員などから寄せられる情報に依存している。このため、情報の信頼度を高めるために、自社の5人の担当者によって確認作業を行っている。サイトを利用するには、自社企業の情報を提供するのが前提条件となる。 また、掲載されている役職に応募することはできない。同社は今後、広告によって収入を得ていく考えだ。【6月11日】 
4.電子商取引とITサービス
(1) 楽曲や携帯電話、住宅の購入およびアパートの賃貸にネットが与える影響力は、実際の店員や友人による影響より小さい。ピュー・インターネット・アンド・アメリカン・ライフ・プロジェクト(PIALP)が報告した。同団体が、2007年8-9月に2400人の成人(うち1684人がネット利用者)を対象に実施した調査では、不動産や携帯電話の購入時に「ネットが決定的に大きな影響を与えた」と答えた割合は約10%で、音楽では7%にとどまっていた。【5月23日】
(2) ウォルマート・ストアーズは、無料のオンライン掲示(クラシファイド)サービスを開始した。自社製品の販売に留まらず、消費者が希望する商品やサービスを提示できる。取り扱う商品はおよそ3000万点におよび、中にはコンサートのチケットや抵当入りした住宅の売買などが含まれている。サービスは、Oodle.comを通じて提供している。売り手、買い手とともにWalmart.comを通じて無料で利用できる。サービスは現在、パイロット・プログラムとして提供されているが、その期間などの詳細は明らかにされていない。同様のサービスを提供する大手としては、eベイ傘下のクレイグスリスト(Craigslist)などがある。【6月3日】
(3) Amazon.comは、ビデオのストリーミング配信サービスを開始する予定であることを明らかにした。アップルのiチューンズへ対抗し、デジタル配信事業の強化を図るのが狙い。詳細については明らかになっていない。【5月29日】
(4) ガソリン代の値上げが、商品価格や車の運転に影響を与える中、無駄な買い物を避けようとする消費者の間で、オンライン・クーポンの人気が高まっている。例えば、調査会社ヒットワイズ(Hitwise)の調べによると、6月1日の週におけるクーポン・サービスを提供するサイトへの訪問者数が前年同期比56%増を示している。人気のサイトとしては、Coupons.com, CouponMountain.com、Eversave.com、CouponMom.com、SmartSource.comなどがある。これらのサイトでは、大手チェーンの割引商品情報を掲載したり、印刷できるクーポンを提供している。また、ギフト券の安売りを提供するなどのサービスもある。【6月15日】

5.半導体とハードウェア技術
(1) 2008年第1四半期(1-3月)における世界液晶テレビ市場でサムスン電子が22.1%のシェア(売上高ベース)を占めて首位となった。次いで、ソニー(18.1%)、シャープ(10.1%)の順になっている。調査会社のディスプレイサーチが報告した。同社によると、2008年第1四半期中のテレビ全体の出荷台数は、前年同月比1%増の4610万台にとどまった。一方、売上高では、比較的高価格のフラットパネル・テレビの販売が反映され8%増の248億ドルとなっている。テレビ全体のシェア(売上高ベース)を企業別に見ると、1位がサムスン(20.8%)、次いで、ソニー(13.2%)、韓国LG電子(11.6%)、シャープ(7.3%)、松下電器産業(7.0%)となっている。【5月21日】
(2) 半導体大手オムニビジョン・テクノロジーズ(Omnivision Technologies)は、携帯電話カメラの画質を最新デジタル・カメラ並みに向上させる画期的なイメージ・センサー技術を開発した。現在の携帯電話カメラに搭載されているイメージ・センサーはほとんどが3メガピクセル以下。しかし、オムニビジョンの開発した極小チップを使えば、画素数を一気に増やすことができる。同社によると、3メガピクセル分のスペースで画素数を8メガピクセルまで引き上げることができるという。2009年には9メガピクセルの高性能カメラ・フォンが登場する可能性があるという。技術開発の最大の課題は、大量の光を吸収できる薄い半導体層をいかに開発するかだった。そこで同社は、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングと共同で取り組んだという。【5月28日】
(3) 半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)のデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)事業が好調だ。特にバイオメトリクス(生体認証)に使用するDSPの需要が増えたのが奏功したようだ。同社の昨年における総売上138億ドルのうち、DSP事業が38%相当の52億4000万ドルに達していた。同事業の中でも高性能DSP事業が伸びている。例えば、直前四半期には、バイオメトリック・セキュリティ機器に使われる特殊DSPの売り上げが、前年同期比で63%増加していた。TIはこれまで携帯電話市場を中心に、デジカメやMP3プレーヤ向けにDSPを出荷してきたが、最近は、高性能マルチコアDSPを軸に、医療分野をはじめとする利益率の高い分野を強化している。【6月2日】
(4) 4月における世界半導体市場の売り上げは、前年同月比5.9%増の212億5000万ドルとなった。主パソコンや携帯端末向け半導体の需要が強かったが反映された格好となった。米半導体工業会(SIA)が報告した。SIAによると、今年のパソコン販売は前年比で約10%、携帯端末販売は約12%の伸びが見込まれている。地域別に見ると、日本市場が42億9000万ドルで11.3%増と好調。米州が6.0%増の34億6000万ドル、欧州が3.8%増の34億2000万ドル、アジア太平洋が4.5%増の100億8000万ドルだった。【6月3日】
6.その他(通信、政府・議会動向など)
(1)米国国防高等研究事業局(DARPA)は、現在の移動ワイヤレス・ネットワークをさらに高速化する技術を開発した。DARPAは、BAEシステムズと共同で、ネットワークの効率を従来のものに比べて5倍高めるプロトコルを開発。バージニア州で近く野外実験を行う予定だ。新しいプロトコルは、データそのものを転送する前にデータを供述したコードを転送する。受信先はそのコードを基にデータを再構築することができる。このため、使用する帯域を少なくし、データ通信速度が低下するのを防ぐことができる。これは、圧縮ソフトを使ってデータを圧縮・解答する原理に似ているという。プロトコルはすでにWi-Fiネットワーク上で試験され、その効率化が無事証明されている。実用化に対するロードマップなどは明らかになっていない。【5月21日】
(2)家屋に配線されている電線を使ったネットワーク技術を推進する業界団体「ホームプラグ電線連盟(HomePlug Powerline Alliance)」は、次世代の高速通信網規格「ホームプラグ・ネクストジェネレーションAV」の開発を進めている。すでに、米国電子電気学会(IEEE)には申請済みだ。同規格は、現在、策定間近のIEEE1901標準規格を利用する。それによって、配線通信網のデータ転送速度を引き上げると同時に、HD-PLCという既存規格に準拠する製品と同一通信網上で干渉せずに利用できる。予定では、最終草案を年内にまとめあげ、2009年にはサンプル・チップの出荷にこぎ着ける。ホームプラグ電線連盟は、新規格のデータ転送速度をどこまで引き上げるのか明言していないが、毎秒400メガビットを超えると見られている。現行規格「ホームプラグAV」のデータ転送速度は毎秒200メガビット。【6月3日】
(3)シスコシステムズ、インテル、サムスン電子、スプリント・ネクステル、アルカテル・ルーセント、クリアワイヤーの6社は、公開特許同盟(OPA=Open Patent Alliance)を結成し、ワイマックス(WiMax)に関する一連の特許使用権をまとめてライセンス提供する制度を策定していく。障害となる特許使用料を低く抑えるのが狙い。同団体は、携帯電話の第3世代(3G)技術のように各社が別々に特許使用料を課すような事態を避けたいと考えている。3Gでは、クアルコムやノキア、エリクソンといった企業が特許使用料を別々に課しており、それが技術の普及を妨げていると言われる。【6月10日】
(4)ワイマックス(YMax)が販売する通信機器「マジックジャック(MagicJack)」が人気を博している。同機器は、マッチ箱大のUSB接続機器で、コンピュータに差し込んで普通の電話をつなげば、通常どおりに電話をかけたり受けたりできるようになるという。価格は本体が39.95ドルで、購入後1年間は米国とカナダへの通話が無料、その後は1年間19.95ドルになる。現在、1日8000-9000個が売れているという。6月末までには利用者が500万人に達する見込みだ。【6月17日】
(5)スプリント・ネクステルは、今年9月からメリーランド州ボルチモア市でワイマックス(WiMAX)サービスを開始する。サービスは、ワイマックスサービス事業者のクリアワイヤー(Clearwire)との合弁会社を通じて提供していく。また、スプリントは、今年末をめどにワシントンDCとシカゴでも同サービスを開始する。同社は、サービスを今年前半に開始する予定だったが、過去数回にわたり延期してきた経緯がある。そのため、ボルチモアが初めての導入となる。【6月19日】 |