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ITニュース 米国IT業界動向2008年7月

JETRO, New York

1. 企業動向
2. パーソナル・コンピュータ(PC)とOS
3.インターネットとメディア・ビジネス
4.電子商取引とITサービス
5.半導体とハードウェア技術
6.その他(通信、政府・議会動向など)
 

1. 企業動向

(1)アップル

 アップルの新携帯電話「iフォン3G」が11日、世界22カ国で一斉発売された。全米各地の店で行列ができ、爆発的な人気を見せた。例えば、イリノイ州にある66のAT&Tの店では、すでに昼前に商品が完売してしまったという。また、サンフランシスコにある店の1つでは、11時30分を過ぎた時点で300人が行列を作っていたという。しかし、購入したユーザーにはさらなる問題に直面した。アップルは同日、ソフトウェアのアップグレードを発表したが、すでに旧式のiフォンを所有する660万人のユーザーが一斉にダウンロード、さらに新規購入者がiフォンの使用可能にする手続きを取ろうした結果、ネットワークに混乱を来した。
 最新新iフォンは第3世代(3G)ネットワークに対応することで、データ転送速度が改善された。価格は8ギガバイト版が初代のほぼ半額の199ドルとなった。ただし、AT&Tの使用料金が高く設定されているため、月額に支払う料金はかなり高額になるとの指摘もある。【7月12日NYT】

 iフォン3Gの販売台数は、 11日の発売から3日間で100万台に達した。初代機種は100万台に達するのに74 日かかっている。ただし、他の携帯電話メーカーと比べるとその数は微々たるものだ。例えば、ノキアは毎週1000万台の電話機を販売している。一方、新設された専用サイト「アップ・ストア」にはゲームや実用ソフトなど800本以上(うち約25%は無料)が揃っているという。アップ・ストアで販売されている外部開発者のソフトは、1本10ドル前後となっている。ダウンロードで販売した後は、業者が売り上げの7割、アップルが3割を受け取る仕組み。同期間におけるダウンロード件数は1000万件だった。【7月15日NYT】

 iフォン3Gの粗利益率は、1台当たり55%に達することが米調査会社iサプライの調べでわかった。携帯電話機メーカー世界最大手ノキアの粗利益率が平均36%であることを踏まえるとかなり高い。一方、部品製造・調達コストは174ドルで、知的財産権使用料(ロイヤルティ)の50ドルを加えた総費用は224ドルと見積もられている。【7月17日 Intomobile】

 アップルの4-6月期決算は増収増益となった。パソコン「マック」やデジタル楽曲プレーヤ「iポッド」の販売が好調だったことが奏功した。同期におけるマックの出荷台数は前年同期比41%増の250万台。iポッドは同比12%増の1100万台に達した。また、携帯電話機iフォンの出荷は2.7倍の71万7000台だった。【7月21日 Reuters】

(2)シスコシステムズ

 シスコは、ロシアおよび独立国家共同体(CIS)のIT事業拡大を目指して、ロシアのベンチャー・キャピタル(VC)アルマズ・キャピタル(Almaz Capital)ロシア・ファンドへ投資する。同ファンドの運用資金は6000万ドルで、おもに技術および通信系のスタートアップ発掘が目的となる。シスコは以前からロシア市場への投資を積極的に進めていた。例えば、同社は昨年、ロシアのオンライン小売店オゾン(Ozon)へ投資したばかり。同市場は、中国やインド同様に技術開発で期待ができるほか、巨大は潜在顧客市場を持つとして期待されている。【7月2日 Red Herring】


(3)デル

 デルは、ノート型パソコン(ラップトップ)向けセキュリティ・サービス「プロサポート・モビリティ・サービシズ(ProSupport Mobility Services)」を開始した。こうしたサービスを提供するのは、パソコン・メーカーとしては初めてとなる。同サービスでは、紛失したラップトップの追跡や、遠隔操作による重要データの消去を可能にする。サービスは、デルが2月に導入したデルサポートに組み込まれ、米国およびカナダで販売される。今後は8月にかけて南米や欧州、アジアでも順次導入される予定だ。
利用料は、ラップトップの追跡および復旧サービスが3年間69ドルで、遠隔操作によるデータ消去サービスの追加で99ドルに設定されている。業界専門家は、新サービスの導入によって、デルが、ハードウェアの収入減の埋め合わせを図れると見ている。【7月2日 IBD】

デルは、タブレットPC「ラティテュードXT(Latitude XT)」に業界初となるマルチタッチ機能を導入した。デルのウェブサイトから専用モジュールを無料ダウンロードしてインストールするだけで、スクリーンにタッチ機能を追加できる。マルチタッチ機能により、ブラウザーをはじめ、アウトルック(電子メールソフト)やインターネット・エクスプローラなどの主要アプリケーションを指で操作できる。画面のスクロールも指でできるほか、画面に触れた2本の指を同時に動かし、写真やウェブ・ページを縮小拡大できる。
デルはまた、128ギガバイトのソリッドステート・ドライブ(SSD)の発売を発表した。価格は649ドルからで、「プリシジョン(Precision)」とラティテュード向けに先行販売し、1週間遅れで「XPS」と「エイリアンウェア(Alienware)」向けに提供する。【7月16日 Press Release】

デルは、百貨店世界最大手ウォルマート・ストアズ店舗の中に技術サポートのキオスク「ソリューション・ステーションズ」を設置する。手始めとして、テキサス州ダラス地域の15店舗で7月から試験的に開始し、向こう数ヶ月で効果を見て行く計画だ。キオスクには、デルの従業員が常駐し、修理ほか、ウォルマートで販売するパソコン、ホーム・エンタテインメントおよびワイヤレス・ネットワーク商品に関する相談も受け付ける。ウォルマートは1年以上前からフラットパネルおよびホームシアター・システムの設置サービスについて検討してきたが、今回、デルとの合弁事業によって実現した格好だ。一方、デルはこれまで直販の顧客に対して自宅出張サービスを提供してきたが、店舗での提供は今回が初めてとなる。【7月16日 WSJ】
  

(4)IBM

 IBMは、今後の急成長が確実視されるアフリカ市場への投資の一環として自社製スーパーコンピュータ(スパコン)「ブルー・ジーン(Blue Gene)」や他の技術を利用し、ココアの木の遺伝子解析に乗り出した。同社はすでに、同市場に1億2000万ドルを投資しており、向こう2年間でコンピュータ関連の基幹設備を整える計画だ。IBMは、南アフリカのヨハネスバーグにクラウド・コンピューティング・センターを開設してるが、これに加えて西アフリカの重要作物であるココアの木の遺伝子を解析してアフリカ経済の発展に貢献する。最終的には、同社製品やサービスの市場を開拓することを狙っている。同社によると、ココアの木の遺伝子解析は数ヵ月以内に完了する見込み。その後は、自社のデータ・マイニング技術を使ってデータを解析する。同プロジェクトには、米農務省およびチョコレート・メーカー大手のマーズ(Mars)も参加している。プロジェクトは向こう5年間続く予定だ。【6月28日 PC World】

  IBMは、かねてから係争中だったプラットフォーム・ソリューションズを買収する。買収によって訴訟を回避すると同時に、メインフレーム業界での競合を抱き込む戦略だ。IBMは以前、企業機密情報の漏えいの疑いでプラットフォームを米連邦地裁に訴えていた。逆にプラットフォーム社は、欧州連合(EU)の独占禁止法監督機関にIBMを訴えていた。両社の問題は解決したものの、独禁法問題に関しては、業界団体のコンピュータ情報産業協会(CCIA)が継続するべきとその必要性を訴えている。【7月3日WSJ】

 IBMは、向こう3年間と総額10億ドルをかけてニューヨーク州フィッシュキルに半導体工場を建設する計画だ。同社はこれまで、半導体の製造事業からの撤退が噂されていたが、それを払拭する形となった。IBMは、同州アルバニー大学のナノテク研究開発費として5億ドルを投じる計画を発表しているが、今回の半導体工場建設もそれと平行した投資計画と位置づけられている。また、ニューヨーク州政府は、IBMによる同投資計画にともない9000万ドルの助成金を拠出する。さらに、IBMがアルバニー大学およびトロイ工科大学と共同で運営するセミコンダクター・パッケージング・センターを建設するために5000万ドルを拠出する計画だ。同社の半導体事業は、数年前には赤字を出した四半期もあったが、幹部によると自社製メインフレームに欠かせない独自チップの生産は重要だという。【7月16日WSJ】

 IBMの4-6月決算は増収増益となった。保守サービス事業やソフトの販売が好調だったことが奏功した。保守サービス事業はドル安も追い風となって16%増となった。一方のソフト事業は17%増だった。システムおよび技術事業の伸びは2%にとどまっている。【7月16日Reuters】


(5)インテル

 インテルの慢性病患者向け家庭用健康管理システム「ヘルス・ガイド」が、連邦食品医薬品局(FDA)の販売認可を取得した。同システムは、患者が家庭で使う健康管理器具を医療専門家が遠隔地からオンライン管理できる。機能としては、個別の双方向ツールと、バイタルサイン(生体情報)の確認、患者への指導、マルチメディア教育コンテンツやフィードバック、ビデオ会議や電子メールなどの通信機能もついている。同システムは、血圧モニタやグルコース測定器、酸素濃度計、ピークフローメーター、体重計といった専用医療機器と接続し、採集した情報の保存やタッチ・スクリーンへの表示、医療専門家が情報を確認するための安全なサーバへの送信などが可能だ。インテルは、2008年末か2009年初頭には米国と英国での発売を見込んでおり、保険会社や医療機関、政府向けに売り込んでいく。【7月10日 WSJ】

インテルは、ノート型パソコン(ラップトップ)向けの半導体パッケージ「セントリーノ2」の出荷を開始した。同パッケージは、プロセッサと関連チップセット、無線LANモジュールなどで構成されている。また、初代パッケージに比べて、より省電力かつ高性能化となっている。年内には、長距離無線通信技術「ワイマックス」に対応したモジュールもオプションとして組み込まれる予定だ。現在約250機種におよぶセントリーノ2を搭載したパソコンが開発されている。【7月16日 Computer World】

インテルが発表した4-6月期決算は売り上げが過去最高記録となった。パソコンや携帯端末向けの半導体出荷が好調だったことが奏功した。また、粗利率は前期の53.8%から55.4%へと上昇した。【7月16日 News Daily】


(6)マイクロソフト

 マイクロソフトは、新興の検索エンジン会社パワーセットを買収する。買収金額は明らかにしていないが、米メディアは1億ドルを若干上回る水準とみている。パワーセットの検索技術は、文脈から利用者が何を探しているか識別する。【6月27日 VentureBeat】

 マイクロソフトは、企業向けのサービス「オンライン・サービス・スイート」の価格を発表した。各ユーザーが月額15ドルで同社がホスティングするソフトを使用できる。これらには、電子メール、ウェブミーティング、メッセージング、コラボレーション関連アプリケーションが含まれている。同社はまた、簡易版の「デスクレス・ワーカー・スイート」も発表した。これは、「アウトルック」や「シェアポイント」の機能を制限したソフトを提供する。月額の使用料金は3ドル。同サービスは主に、看護婦や工場の従業員など電子メールや他ソフトを利用できない人の利用を想定している。マイクロソフトはここ数年、数十億ドルを投資して巨大なデータセンターを構築してきた。これまでのようにデスクトップにインストールするソフトの販売に加えて、ウェブ・サービスの強化も図っている。オンライン・サービス・スイートは年間で180ドルになるが、競合のグーグルのサービスは年間コストがおよそ50ドルとなっている。【7月8日 NewsDaily】

 マイクロソフトは、オンラインDVDレンタル大手ネットフリックスの映画配信サービスを自社のビデオゲーム機「Xボックス360」向けに提供する。ネットフリックスのストリーミング・サービスは、約1万の映画やテレビ番組を提供する。Xボックス自体も独自の配信サービスに対応していたが、 作品数は非常に少なかった。【7月14日 AP】

 マイクロソフトの4-6月期決算は増収増益となった。「ウィンドウズ」部門が好調だったものの、家庭用ゲーム機「Xボックス360」で見つかった欠陥の対策費計上などが響いた。一方、ネット事業の売り上げは、24%増の8億3800万ドルとなったものの、引き続き4億8800万ドルの赤字を計上している。【7月18日 Microsoft】

(7)グーグル

 グーグルと提携各社が開発中のアンドロイド対応電話機の出荷は、関係筋の話しによると2009年にずれ込む見込みだ。当初の予定では、今年第3四半期に最初の機種が出荷される予定だった。しかし、一部の携帯電話会社はすでに年内の発売を表明しており、撤回はしていない。例えば、台湾の大手携帯電話メーカーHTC(High Tech Computer)は先月、アンドロイド機種を競合社に先駆けて今年末までに発表する計画が順調に進んでいると話している。また、ドイツ・テレコム傘下のTモバイルUSAも、アンドロイド機種を今年末までに出荷する計画を進めている。一方、スプリント・ネクステルでは来年にずれ込むことが確実になった。中国移動通信でも、アンドロイド搭載機の発表が来年にずれ込む見込みだ。【6月23日 WSJ】

 グーグルは、有名アニメータの作品を使った新たな広告配信サービスを提供する。今回のプロジェクトは、「ファミリー・ガイ」の製作者、セス・マクファーレン氏の新作クリップをグーグルのアドセンス(AdSense)ネットワークを使って数千のウェブサイトに広告と一緒に配信する。また、傘下のユーチューブでも配信していく。通常のテキスト広告ではなく、ビデオクリップが各サイトに掲載されることになる。同アニメーションはネットのみの配信となる。 広告は、テレビコマーシャルのように挿入されたり、字幕としてアニメーションの中に埋め込んだりと多様だ。マクファーレン氏は、広告料金の一部を取得する。同氏は今後およそ50本の話を製作していく。グーグルは新規サービスを「グーグル・コンテンツ・ネットワーク」と呼んでいる。【6月30日 NYT】

 グーグルは、ウィンドウズ対応パソコンとデジタル・テレビを接続するソフト「グーグル・メディア・サーバ(Google Media Server)」を開発した。パソコンやウェブサイトに保管または公開されているビデオや楽曲、写真といったファイルをテレビで視聴できるようになる。グーグルは今回の新製品発表を機に、家庭用娯楽市場へ参入する。同製品を利用するには、パソコン側にグーグル・デスクトップ(Google Desktop)をインストールする必要がある。また、接続する機器は、ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ(UPnP)に対応していることが条件となる。ひとたび接続できれば、「デスクトップ・サーチ」を利用し、パソコンやユーチューブといったウェブサイト上のメディア・ファイルを検索できる。【7月1日 Last 100】

 連邦地裁の判事は、メディア大手バイアコムがグーグルに対してコードの開示を求めていた裁判で、バイアコムの要請を却下する判決を下した。バイアコムは、グーグル傘下のユーチューブを著作権法違反で訴え、1億ドルの賠償金を求めていた、さらに両社が保有する検索機能に関するコードの開示も求めていた。これに対して、グーグル側は自社のソースコードの開示を取り消すよう裁判所に要求していたが、最終的に連邦地裁がグーグルの要求を飲んだ形となった。グーグルは、ソースコードは社内機密であり、開示によってビジネスが大きく損なわれると主張していた。両社はまた、ユーチューブのユーザーのデータをバイアコムに提出する際に、ユーザーをすべて匿名にすることで合意した。【7月1日 WSJ、7月16日WSJ】

 グーグルの4-6月期決算は増収増益となった。しかし、利益はアナリストの予想を下回った。米国の景気低迷の余波を受けたと考えられている。米国外からの売り上げが52%を占めている。【7月17日 CNET】

(8)オラクル

 企業向けソフト大手オラクルの3-5月期決算は増収増益となった。ソフトの新規ライセンス収入が伸びたのが要因。ソフトウェアの売り上げのうち、新規ライセンスによる収入が27%増の31億4400万ドルだった。同時に発表した2008年通期(2007年6月-2008年5月)決算は、純利益が前年比29%増の55億2000万ドル、売上高は25%増の22億4000万ドルとなっている。【6月26日 Network Computing】

主な企業の決算報告:

企業名
四半期売上高
前年同期比
四半期純益
前年同期比
アップル
74.6億ドル
38%
10.7億ドル
31%
IBM
268.2億ドル
13%
27.7億ドル
22%
インテル
94.7億ドル
9%
16億ドル
25%
マイクロソフト
158.4億ドル
18%
43億ドル
42%
グーグル
158.5億ドル
118%
12.5億ドル
35%
オラクル
72.4億ドル
24%
20.4億ドル
27%

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2.パーソナル・コンピュータ、携帯機器とソフトウェア(OS)

(1) 世界で使われるパソコンの台数(実際に使用されている台数)は年率12%弱で増加しており、2014年には20億台に達する見込みだ。調査会社ガートナーが報告した。同社のアナリストによると、世界で使われているパソコンの16%に相当する1億8000万台が今年中に新機種に代わるという。そして、そのうちの5分の1が埋め立て地に廃棄される。また、欧米日では、世界で使用されているパソコン台数の58%を占めるという。
   一方、調査会社大手IDCは、4-6月期における世界のパソコン出荷台数が前年同期比15.3%増の7064万台になったと発表した。米国では販売減速が顕著だが、欧州・中東・アフリカ地域でノート型パソコンを中心に販売が好調だった。メーカー別では、HPがシェア18.9%で首位を維持。以下、デル(16.4%)、台湾エイサー(9.9%)、中国レノボ(7.9%)、東芝(4.4%)の順だった。【6月21日 Computer World、7月2日 IDC Press Release】

(2) 音響・映像機器向けに高級ケーブルを開発するモンスター・ケーブル・プロダクツ(Monster Cable Products)は、これまで問題となっていたHDTV信号の超高速無線送信の安定化を克服する技術を開発した。モンスターの最新製品は、標準的HDTV受像機の背後にプラグインする受信機と、DVDプレーヤやそのほかの家庭用娯楽システムに接続する送信機からなる。後は、送信機から高精細(HD)ビデオ信号を最大30フィート離れた受信機に送信する仕組みだ。モンスターの無線HDTV用キットは、今年10月に299.95ドルで発売される予定。【6月23日 Infopackets】

(3) レノボは同社初となる米消費者向けデスクトップ・パソコン「アイデアセンターK210(IdeaCentre K210)」を市場へ投入した。小売価格は割引後に379ドル。最大の特徴は、コンピュータのカメラを使った顔面認証によるログイン。9月の新学期前の販促を狙う。レノボは今年に入り、中国国外向けに同社初のノート型パソコン「アイディアパッド(IdeaPad)」の出荷を開始、国外市場への本格的に進出しつつある。【7月1日 Information Week】

(4) デジタル家電技術を提供するベルキン(Bellkin)は、ケーブル回線に接続することなく高精細テレビ(HDTV)を利用できる技術「フライワイヤー(FlyWire)」を開発した。フライワイヤーは、HDTVに接続する受信機と、コンテンツを転送する送信機から成る。ユーザーは配線に煩わされることなく、好きな場所にHDTVを設置して視聴できる。また、データ転送には5ギガヘルツの帯域を使用し、圧縮しないで転送する。フライワイヤーには、SDカード用スロットも備わっているため、機能拡張やアップグレードも可能だ。価格は1000ドルで、今年後半に出荷される予定だ。【7月10日 TMC Net】

(5) 企業によるマッシュアップの利用が増えている。マッシュアップは、異なるプログラムやデータ・フィードを組み合わせて全く新しいカスタム・アプリケーションを作る方法を指す。これまで、消費者向けサイトなどで導入されてきた。しかし、ここに来て企業が積極的に利用するようになってきた。例えば、ボーイングはIBMと共同でウィジッド(ウェブ上で利用するアプレット)を開発した。同ソフトを利用して、緊急時に資源などの供給する飛行機が緊急着陸できる飛行場を見つけるのに利用する。元々のアイデアは、2005年に米南部を直撃したハリケーンの失敗から生まれたという。IBMは現在、マッシュアップ・センターを構築し、100人のユーザーが1万3000ドルで利用できる。IBMほか、ヤフー、マイクロソフト、グーグルなども同様にマッシュアップを提供している。また、BEAを買収したオラクルも同事業の拡張を図っている。新興企業では、企業向けにマッシュアップのプラットフォームを提供するジャックビー(JackBe)などがある。【7月14日 IBD】

(6) ライフサイズ・コミュニケーションズ(LifeSize Communications)は、高精細(HD)対応で安価なビデオ会議システム「ライフサイズ・エクスプレス(LifeSize Express)」を発売した。製品は4999ドルと5999ドルの2機種がある。いずれも小型で、ブリーフケースに収まる程度。画像転送は、解像度が720ピクセル(1280×720のプログレッシブ・スキャン)、毎秒1メガバイトの接続速度で毎秒30フレームの表示が可能になっている。4900ドル製品は固定カメラで、5999ドル製品にはカメラを操作できる機能が付いている。シラキュース大学の商品テストでは、その高解像度が高く評価された。通常のHDモードのテレビ放送に比べると見劣りするものの、標準精細やそれ以下だったこれまでのビデオ会議システムに比べれば、はるかに鮮明だという。【7月14日 Information Week】

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3.インターネットとメディア・ビジネス

(1) フランス広告大手パブリシス・グループ(Publicis Group)は、傘下にあるすべての広告代理店が利用できる新しいデジタル広告システム「ビバキ・ナーブ・センター(Vivaki Nerve Center)」を開発した。新システムは、グーグルの広告配信技術を利用して、自社の広告代理店をグーグルやAOL、マイクロソフト、ヤフーが販売する広告スペースにアクセスできるようにする。同社によると、「4つの競合社を1つのテーブルにつかせる」という。また、パブリシスは、ヤフーのオンライン広告売買システムであるライト・メディア・エクスチェンジ(Right Media Exchange)をより簡単に利用できるシステムを開発している。ヤフーのシステムは、ウェブサイトと広告主の間で広告スペースを売買するためのプラットフォーム。【6月25日 WSJ】

(2) 最近では、趣向を凝らした検索サイトが登場しつつある。例えば、新興企業のスカウアー(Scour)は、検索したサイトに対して投票を行うとポイントを獲得できる。後はこのポイントを貯めて、ビザのギフトカード・サービスで商品の購入に利用できる。同様のサイトには、Swagbucks.comがある。そのほか、ユーザー検索することによって発生する広告料を環境保護の研究に寄付するEcosearch.org、検索結果をイメージで表示するレッジー(Redzee)、精度を誇るドッグパイル(Dogpile)、マハロ(Mahalo)などがある。こうした新手の検索エンジンは、グーグル、ヤフー、マイクロソフトが牛耳る市場からユーザーを取り込もうと必至だ。しかし、アナリストらは、多くのサイトがユーザーのし好を変えることができない点を指摘している。一方、多くのユーザーが大手検索エンジンの結果に満足していないという事実もある。調査会社ケルトン・リサーチによると、検索を試みたユーザーの4人に3人が求めている解答を得られずにパソコンの前から立ち去るという。同社のアナリストは、グーグルが10年後、同市場に君臨し続けているのは難しいと考えているようだ。【7月14日 LA Times】

(3) ウォルト・ディズニーは、今年の10月に発売予定の「眠り姫(Sleeping Beauty)50周年記念版」を次世代DVDフォーマット「ブルーレイ(Blue-ray)」で販売する。さらに、インタラクティブ機能も追加する。視聴者は、別の場所で見ている友達とパソコンや携帯情報端末(PDA)を使ってチャットができ、コメントがテレビに映し出される仕組みだ。また、ビデオ・メッセージを録画して送れば、希望するシーンで表示することもできる。これらの機能は、BDをインターネットに接続する技術BDライブによって行うことができる。映画製作会社は、このBDライブがBDの売り上げを伸ばす重要なカギとして見ている。ディズニーの調べによると、非常に多くの人がノート型パソコン(ラップトップ)の側でテレビを見ているという。これにBDライブ機能を提供することでインタラクティブな環境を構築する。最大の課題はハードウェア。初期のBD機種は、BDライブへのアップグレードができない。現在、プレイステーション3ほか、パナソニックのBDプレーヤ「DMP-BG」のみとなっている。ただし、今秋には対応プレーヤが発売になる見込みだ。価格は最低でも400ドルになる見込み。【7月14日 NYT】

(4) 6月における米ネット検索エンジン市場は、グーグルが61.5%のシェアを確保してトップとなった。ただし、先月からはわずかに下がった。調査会社コムスコアが報告した。同社の調査結果によると、2位はヤフーで、前月の20.6%から20.9%に上昇、以下、マイクロソフト(9.2%)、Ask.com(4.3%)、AOL(4.1%)の順となっている。【7月21日 Reuters】

(5) ヤフーは、同社の大株主で著名投資家でもあるカール・アイカーン氏と和解した。アイカーン氏は、同社の前取締役の追放を目指して、ヤフーと委任状争奪戦を展開していた。和解により、アイカーン氏が推薦する2人が新たに取締役に就任する。一方、現取締役の中から1人が退任することになる。同氏取締役の交代は、今年の定時株主総会で正式に決定される予定だ。ヤフーのジェリー・ヤン最高経営責任者(CEO)は留任し、取締役会の過半数を握ることになるが、アイカーン氏の発言力が増すのは必至だ。同氏は、マイクロソフトによる買収案を強く支持してきたことから、今後ヤフーにさらなる波乱が起きそうだ。しかし、和解が成立したことから、当面マイクロソフトがヤフーの買収を成立させる可能性は低い。アイカーン氏は5月、ヤフーがマイクロソフトによる買収案を拒否した後から、ヤフーの株購入を開始、委任状の争奪を狙った。同氏は、現時点で発行済み株式の約5%を保有している。【7月21日NYT】

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4.電子商取引とITサービス

(1) 米経済の低迷が2008年の歳末商戦に影響を与えそうだ。調査会社大手フォレスター・リサーチは昨年12月、米国オンライン販売の売り上げが前年比17%増の2080億ドルに達すると予測している。しかし、フォレスターのアナリストは、数字を下方修正した。最悪の場合は10%を切ると見ている。格付け大手スタンダード&プアーは、今年のオンライン販売の伸び率を15%増としている。同社のアナリストは、この数値が非常に楽観的であるとしながらも今のところ修正した数字は発表していない。ただ、Amazon.comやeベイには、価格の安い商品を求める消費者が流れ込むことによって、現在の状況が好機になると見られている。一方、贅沢品を販売するオンライン業者は、不況の余波を受けそうだ。例えば、オンライン宝飾品販売大手ブルー・ナイルは今年2月、今年の売り上げの伸びが10%増程度にとどまると発表している。昨年の伸び率は27%増だった。【7月11日 WSJ】

(2) Amazon.comとデジタル・ビデオ録画サービス大手ティーボ(TiVo)は、テレビショッピング・サービス「プロダクト・パーチェース」の提供で提携する。ティーボの利用者は、テレビを通じてAmazon.comの商品を購入できる。ティーボのセットトップ・ボックス(STB)を利用する顧客は、ケーブルテレビ(CATV)会社や衛星放送会社に関係なくサービスを利用できる。顧客は、ティーボの提供するリモコンを使って、テレビ番組や映画などに関連した商品を検索して購入できるのが特徴だ。支払いには、Amazon.comの口座に連動した暗証番号を使用する。購入には、ティーボは、手始めにバラエティ番組「オプラ・ウィンフレイ・ショー」や「エレン・デジェネレス・ショー」などに関連した製品を紹介していく。【7月22日 WSJ】

(3) オンライン競売最大手のeベイは、宝飾ブランド大手ティファニーから訴えられていた裁判で勝訴した。訴えによると、ティファニーは、eベイのオンライン競売サイトでティファニーの類似品の競売が横行しているにもかかわらず、eベイが十分な対策を取っていなかったと主張。ニューヨークの連邦地裁に訴えた。eベイはそれに対し、「売り手と買い手の取引の場」を提供するだけで、取引されている商品を確認できないと反論した。結果はeベイの勝訴となった。リチャード・サリバン連邦判事は、eベイが出品物の違法性に気づいた段階でサービス停止や商品リスト削除といった適切な処置を速やかに行っていると判断。ティファニーに対して、ブランドを守るリスクを追わなければならないとして、eベイの違法性を否定した。今回の裁判は、eベイにとって非常に重大な裁判だった。敗訴すれば、競売取引件数の激減を強いられ、ブランド品の供給も損なわれ、他社から訴追される危険性があったからだ。また、同業他社にも影響がでる可能性があった。一方、同判決を不服とするティファニーは控訴する姿勢だ。専門家によると、ティファニーが控訴すれば、最終的には最高裁まで持ち込まれることになるという。
一方、eベイは、欧州で仏ブランド大手LVMHが起こした同様の訴訟で敗訴している。フランスの裁判所は、今年6月、6100万ドルの賠償金をLVMHに支払うようeベイに命じた。さらに、eベイに対して、LVMH製香水の販売を即刻禁止するか、さもなければ1日あたり5万ユーロの罰金を科すことも明示した。eベイは、判決に従う一方で、控訴する方針を表明している。【7月15日Business Week】

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5.半導体とハードウェア技術

(1) 動作コントロール・システムを開発するコンボルブ(Convolve)は、デル、日立グローバル・ストレージ、ウエスタン・デジタルの3社を特許技術の侵害でテキサス州連邦地裁に提訴した。訴えによると、3社がハードディスク・ドライブ(HDD)に使用している技術がコンボルブの保有する2つの特許を侵害しているという。問題となっているのは、ディスクを最小限の振動で高速に動かす技術で、NASAがスペース・シャトル向けに開発したロボットアーム・トレーニング・システムや核物質を取り扱うクレーンにも使われている。コンボルブの幹部は、デルの幹部と自社技術のライセンス供与で話し合ったことがあると主張。デルもコンボルブと以前に協議したことを認めているが、今回の訴訟に関するコメントは明らかにしていない。一方、ウエスタン・デジタルは、今回の訴えに対して徹底抗戦の構えを見せている。日立グローバル・ストレージは今のところ対応を明らかにしていない。【6月20日 Computer World】

(2) ウェブサイトでパスワードに代わる電子IDカードの普及を促進するため、米ハイテク大手各社は非営利団体のインフォメーション・カード・ファウンデーション(IFC)を結成した。同団体には、マイクロソフト、グーグル、ペイパル、イクイファックス(Equifax)やノベル(Novell)、オラクル、そしてハイテク業界アナリストも名を連ねているという。IDカードの開発は、ID保護技術を手掛けるパリティ(Parity)が手掛ける。しかし、IDカードの推進には、数百万に上るウェブサイトの参加を促す多大な労力を伴うため、アナリストは、この作業に数年を要すると見ている。【6月25日NYT】

(3)曲げることができる「フレキシブル・ディスプレイ」市場は2007年の8000万ドル規模から2013年に28億ドル規模に達すると見られている。調査会社iサプライが報告した。同社によると、今年後半以降、携帯通信機器の進化とともに需要が伸びると見込みだ。現在およそ12種類以上のフレキシブル・ディスプレイ製造技術が実用化されている。企業としては、Eインク(E Ink)やサイピックス(SiPix)をはじめ、ケント・ディスプレイズ(Kent Displays)、フレクッスメディア(Flexmedia)、四川グゥアンクシン(Shenzhen Guanxin)が比較的大きな量を出荷している。そのほか、ポリマー・ビジョン(Polymer Vision)やプラスティック・ロジック(Plastic Logic)、プライム・ビュー(Prime View International)、LGディスプレイ、UDC、ソニー、サムスン、ブリヂストン、アッド・ビジョン(Add-vision)などが市場に参入している。【6月30日 Optics.org】

(4)5月の世界半導体販売額は、前年同月比7.5%増の218億3000万ドルとなった。米半導体工業会(SIA)が発表した。同団体のスカライズ会長によると、中国や南米、インドなど新興市場での家電販売急増が市場を牽引したという。地域別に見ると、、日本市場が9.5%増の42億9000万ドル、アジア太平洋が8.5%増の106億2000万ドル、米州が5.2%増の35億2000万ドル、欧州が4.4%増の34億1000万ドルだった。【6月30日 SIA 】

(5)半導体メーカー大手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)のヘクター・ルイス会長兼最高経営責任者(CEO)は引責辞任した。同社は7四半期にわたって赤字が続いていた。同社は今年になり、若干回復の兆しを見せているものの黒転していないのが現状だ。第2四半期の損失は11億8000万ドルだった。そのうちの9億2000万ドルは同社が2006年に買収したATIテクノロジーズによるものだった。ルイス氏の後任には、ダーク・マイヤー現社長兼最高執行責任者(COO)が就任する。ルイス氏は今後も会長として残る。【7月18日NYT】



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6.その他(通信、政府・議会動向など)

(1)IT関連企業大手らは、互いに結託して知的財産権(IP)を買い上げていく方針を打ち出した。これにともない、非営利団体アライド・セキュリティ・トラスト(AST)を設立した。営利目的の特許侵害裁判が相次ぐ中、重要なIPを共有することで対抗していく。参加企業には、ベライゾン・コミュニケーションズ、グーグル、シスコ、テレフォン、エリクソン、HPなど。多くの企業が特許を武器に、すでにサービスや商品を提供している企業から特許使用料を要求する「パテント・トロール」が横行している。例えば、電子メール特許を持つNTPがブラックベリーの親会社、リサーチ・イン・モーション(RIM)を訴え、6億1250万ドルで和解したケースは記憶に新しい。NTPは一度も携帯電子メール機器を製造したことはない。さらに、特許によるロイヤルティ取得をビジネスモデルにする企業が増加しているのも多角的に事業を展開する大手にとって懸念材料となっている。ASTの参加企業は、同団体に25万ドルを提供し、その後は各社が特許購入のために500万ドルずつ投資していく。また、購入した特許に関しては、これらの企業に対するライセンス供与を保証した後に売却する。【7月1日 Information Week】

(2)スタートアップ(新興企業)が新規株式公開(IPO)をあきらめ、資金調達に奔走している。今年第2四半期、米国内でベンチャー・キャピタル(VC)に支援されているスタートアップでIPOを果たした会社は皆無だった。IPOが1社もなかったのは、1978年以来はじめて。米国VC協会によると、第1四半期はわずか5社だったという。IPOを見送った新興企業は、さらなる資金を投資銀行などに求めるようになっているという。一方、IPOによる利益還元の機会を失うVCは、これらスタートアップの合併買収(M&A)によって出来る限り迅速に投資リターンを得ようとしているのが現状だ。しかし、経済の低迷やIPOが不人気になり、買収する側の企業もIPO前に買収する必要がなくなる。その結果、M&Aの額が下がってくるとの見方もある。第2四半期におけるVCによるM&Aの総額は、前年同期比40%減の24億ドルにとどまった。アナリストは、IPOの減少により、投資銀行がVCからこうした新興企業を買収するという利点が出てくると指摘している。現在、VCが資本注入した企業がIPOを果たすまでに平均で8.6年かかるという。【7月1日 WSJ】

 

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