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会社設立の基本ニューヨークの起業家に聞く弁護士に聞く
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ニューヨークには数多くの日本人起業家がいます。そんな先輩方に、起業したころのことを思い出していただきその当時の話や、これから起業を考えている人たちに向けたアドバイスなどを聞きます。

ITソリューションズカンパニー「シスコムUSA」 社長
佐藤 誠詞 (さとう せいし)さん

プロフィール
1957年 広島県生まれ。
76年にサンノゼ州立大学に留学し、82年イタリア系銀行東京支店に外為ディーラーとして入社。翌年から日永インターナショナルの契約社員として中近東、米国などに駐在。88年ニューヨークの日系通信子会社に転職し、90年にシスコムを設立した。趣味は読書、水泳、ゴルフ。


起業したきっかけ
 
 アメリカには留学で来ましたがサンノゼ大学を中退し、その後日本に戻って1年間銀行に勤めました。この時、自分はつくづくオフィスワークに向いていないと感じました。

  82年あたりから海外、特に東南アジアに契約ベースで派遣されるような仕事をしました。通信インフラ整備のプロジェクトをコーディネートする仕事が主でしたが、日本政府が援助するような大型プロジェクトでした。海外では、国単位の大規模な仕事を、経験の少ない若者にも任せてくれるということが分かり、海外の方が自分には向いていると感じ始めていました。

  その後は不動産投資を行ったり、パキスタン人と柔道着のビジネスを立ち上げたりしましたが、なかなかうまくいきませんでした。

 85年にはアメリカで、光通信プロジェクトで、ミシガン州内の電話局をを光通信で結ぶという仕事のコーディネータをしました。その当時日本ではオフィスにパソコンがほとんど浸透していない時代でしたが、アメリカではすでにIBMのパソコンがオフィスにあるのが珍しくない環境でした。アメリカの通信、特にコンピュータの進み具合を目の当たりにし、また、オフィスにはパソコンがあってそれがネットワークにつながっているという環境を身近に体験して、このようなものを商売にするといいだろうとこの時から考えていました。

 88年、日系通信子会社のニューヨーク事務所に転職をしました。主に、金融機関の通信コンピュータのエンジニアリングを提供して、システム導入するというビジネスを行っていましたが、当時はIBM、ワング、DEC、AT&T などの会社が独自の方式でネットワークを構築していて、ユーザの希望と合わないことも多かったのです。通信会社はどこでも本音は「自分の回線を販売して長く使ってもらい、他社に逃げられないようにしたい」ということなので、結局はユーザ本意ではなかったのです。そこで、これらを統一するようなプラットフォームを作ればニーズがあると思い、90年に会社を設立しました。

 といっても完全に私だけでやったわけではありません。89年に知り合った業界3位の電気通信の会社にビジネスプランを持ち込み、私達が営業、コンセプト、デザインを引き受け、その会社が工事を担当するという共同ビジネスを立ち上げることになりました。また、通信プラント工事で長年在職した日本の会社より、アメリカで日系企業相手のビジネスを計画中でした。ちょうどお互いの思惑が一致し、ジョイントベンチャーという形をとることになりました。

 資本金20万ドル、アメリカの会社が51%、私個人が15% 、日本側が34% という株主構成でスタートしました。

   
  設立は誰に頼んだか、設立費用
 
  ジョイントベンチャーなので、3者が弁護士をたてて株主間協定を結びました。設立自体にかかった弁護士費用は当時で8〜900ドル位でした。その後、資本金を振り込んだら設立は完了でしたね。

   
  どのように広げていったか
 
 営業活動はほとんどがReferral(紹介)です。

 その当時、日系の通信インフラ業界の市場規模は、西海岸のLA、サンノゼ、サンフランシスコ、そしてニューヨークのトライステートをあわせても45-50 millionドル程度でした。そういう中で仕事をしていると、大体は紹介になります。紹介してもらい、実際にお伺いして自分達の事業内容を説明する。そして「ネットワークを結びませんか?」「パソコン周りでお困りのことはありませんか?」などと聞いてまわるという対面営業という形で広げていきました。

 最初の10年は一般広告は全く出しませんでした。その代わり日系の情報誌や読売などの新聞に人材募集の広告を大きく出していました。するとそれが広告になって、「シスコムさんは人材募集をしてるから大丈夫だね」という感じで営業もうまくいきました。また人材も、募集を見て若くてやる気のある人たちが入ってきました。

   
  苦労した点
 
 やはり資金繰りには苦労しました。設立当初の資金は20万ドルだったのですが、1年目で、少なくとも60万ドルないと回らないということが分かりました。というのは、私たちのビジネスは、まず物を仕入れて自分達でテストをしてお客様に納めるので、お客様からお金をもらうまでに60日位のタイムラグが発生するのです。

 仕事が増えると、人手が必要になり物も仕入れなくてはならないということで、慢性的な資金不足になってきました。さらに追い討ちをかけるように、一緒に立ち上げたアメリカの会社が、このビジネスから引き上げたいから株を2.5倍の値段で買い取れと言ってきたのです。これが設立してから3年後でした。

 当時は日系の金融機関が多く、店舗を構えてリテール営業しておりましたが、これらの銀行に融資を申し込みに行っても担保がないという理由からすべて断られました。

 慢性的な資金不足と株の買い取り資金で困っている時に、突然 Citibankのマネージャが訪ねてきて「お前のところは最近資金の出し入れが激しいけど、何かヘルプが必要か?」と言ってきたんです。それで立替が多くて運転資金に困っていること、さらに株主から株を買い取る資金が必要だという話をしたら、彼はうちの売掛金状況や顧客、株の買い取り条件などを見て、2週間後に何とかしてやると言ったんです。

 日系のすべての銀行に断られた状況で、担保もなしになぜ貸してくれるのか不思議でした。10人ほどの従業員が狭いオフィスの中でコンピュータに囲まれて仕事をしている様子を見て、「活気があって、いいじゃないか」とそのマネージャは言っていました。そして2週間後にきて、無担保で、私が生命保険に入るという条件で貸してくれました。30万ドルのCredit Line と株買取の資金として別枠で25万ドル、合計55万ドルを融資してくれました。

 この融資のおかげで日常業務に関しては大分楽になりました。株に関しては100株持っていたそのアメリカの会社に25万ドル払いました。2年もしないうちに2.5倍です。まあその会社がなければビジネスをスタートできませんでしたので仕方ないと思いましたが、その会社は今でいうエンジェルのような感じですね。当時、他にも色々な若い人の会社に投資をしていたようです。


   
  やっておけばよかった点
 


 まずは、社名をもっとユニークな分かりやすい名前にすればよかったなと思います。シスコムという名前は簡単で覚えやすくていいのですが、ニューヨークに同じ名前が5社くらいあります。西海岸に新拠点を構える時も、サンノゼにSyscom Incという会社があったので結局Syscom LLCを登録しました。LLCならその会社(Syscom Inc)の許可を取る必要がありませんので。将来的に多拠点に出したい場合は、ネーミングは良く考えた方がいいと思います。

 それから、人事総務というところをもっと早めにしっかりしておけばよかったです。どうしても最初は稼ぐところばかりに集中しがちですが、こういうところもしっかりしておくべきですね。その他起業する前にできることといえば、経営の根幹に関わること、例えば経理の勉強とかもしておけば大分違うと思います。

   
  今後の目標
 


 設立して13年位は、電話、ネットワークの構築、セキュリティシステムの構築、メンテナンスがメインでした。

インフラビジネスが頭打ちになってきているのでミドルウェア、アプリケーションの分野に進出しました。去年あたりからミドルウェアソフトの開発や販売、導入サポート、またERPやマイクロソフトの経理ソフトの導入サポートなども手がけています。このビジネスを伸ばし、オフィスで必要とされる大体のソフトウェアをカバーしたいです。

 15年前は3人だった従業員も今は80人(ニューヨーク 60人+西海岸 20人)になり、年商も今年は14 millionドルを見込んでいます。2007年には、20 Million を目標とし、ソフトの開発やアプリケーション分野への進出、その分野の人材の育成などに力を入れ、具体的にはこの分野での売上を3 millionドル、全体で20 Millionまで伸ばす目標です。また新しいニーズを掘り起こすために、今年にはデトロイト進出を準備しています。

 ここまでいけば、米系企業をターゲットに出来ると思っています。2010年には30 Million ドルを目標ですがただしここまで広げていくには会社でユニークな商品を持つ必要があると思っています。当面は2007年の直近の目標しか考えていません。

 1〜2年単位で明確なターゲットを絞って目標を立ててやることが大事でしょう。そして達成してもしなくてもその時期が終わったら思い切り騒ぐ。そういうことでもしないとおそらくマンネリ化が進んでしまいます。単純明快がいいと思いますよ。

   
  今後の目標
 
  まずはビジョンが大事です。しっかりしたビジネスプランとビジョンを持って初めて会社は成り立つものです。次はやはり資金ですね。キャッシュフローをきちんと考えて準備することが必要です。10〜20万ドルで設立できると思ったら大きな間違いです。もちろん業種にもよりますが、おそらく想像する数倍のお金が初年度で出て行くと思ってください。

 最後は忍耐です。自分が決めたことならばしっかり目標を持って、どんなにうまくいかなくても、3年間はギブアップせずに頑張ってみてください。

【2005年10月】

 
■会社情報
SYSCOM (USA) Inc.
住所: 1 Exchange Plaza, 55 Broadway, 17th Fl., New York, NY 10006
TEL: 212-797-9131
E-Mail: sales@syscomusa.com
設立: 1990年5月
 

 

   

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