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「元ニューヨーク・ホームレスの眼」のseikiさんに注目!

ブログID
seikiny(seikiさん)
職 業
ライター
NY在住歴
21年目の真っ最中。

一番最初にアメリカに来たときの印象はいかがでしたか?

A:
“HOTDOG, PLEASE.”
“^#$¨ヾ〇☆д*=■@》”

“Hotdog, please.”
“^#$¨ヾ〇☆д*=■@》!”

“hotdog……”
“^#$¨ヾ〇☆д*=■@》!!!”

アメリカに入国した直後、サンフランシスコへの乗り継ぎ便を待つ間に入ったLA国際空港内にある売店での出来事です。
一方通行の会話の数分後に僕はステンレス製の椅子に座り、ソーセージとパンだけのホットドッグをむなしくかじっていました。
「ほほーん。アメリカのホットドッグってのはこの程度のものかい」と思いながら。
食べ終わってから周りを見回してみると皆さん実にうまそうなホットドッグを食べている。ゴミ箱へ行く途中に通り過ぎたところにはケチャップやマスタード、そして大量のナプキンが置かれていました。ナプキンを一枚だけ抜き取ってそっと口を拭ったのです。

この国では自分の意見を述べていかなければ生きていくことはできない、その分選択肢はいくらでもあるが。そんなことを思い知らされたスタート地点に転がっていた石でした。
しかし、その反面で「この国でもなんとかやっていけるかな……」という、何の根拠もない自信に似たものが生まれたのもこの時だったと思います。
最初に口にしたホットドッグの味を今でも思い出すことがあります。

二ヶ月間アメリカを横断されたとのことですが、
アメリカで一番好きな都市はどこでしょうか?またその理由は何でしょうか?
ニューヨークです。
理由は、拒絶と受容。
駆けるように歩く人がいると思えばまるで眠っているみたいなのに風に吹かれて少しずつ前へ進んでいる人もいます。ファッション雑誌から飛び出してきたような人の隣には裸足で歩いている人がいたり。やさしさがあり適度な緊張感に包まれている街。そのどれもが生き生きと存在しそれを許されている街。
そのひとこま、ひとこまがくっきりとした像を持ちながら、全体像としても決してぼやけていない。なぜかそれだけでもしっかりと成り立ってしまう街。

微妙なバランスの上に成り立ちながら絶対に崩れない街。
テレ笑いをしているようなその表情が大好きです。

ニューヨークに来てから、今まで一番つらかった時期、できごとは何でしょうか?

それはホームレス時代のことでした。
「もうやめよう」と決心した直後に知らされたひとつのニュース。
「数ヶ月前、父親は亡くなってしまった」と。

そのつらかったできごとをどのように克服されたのでしょうか?
克服が出来たかどうかは今でもわかりません。しかし<時>は僕にやさしく、少しずつですけれど癒してくれました。角をおとしていってくれるのです。

悔いの残らぬ一生を送ることを硬く心に誓っています。
今となっては僕が父にしてやれるただひとつのことです。

ニューヨークのエリアで一番好きなエリアはどこですか?
ダウンタウン(ヴィレッジ、ソーホー界隈)です。
特に夜中、中でも夜明け前頃が一番好きです。
NYブロガーズで会ってみたいブロガーはいらっしゃいますか?

小林恵さん。この方とは是非一度お話しをしてみたいです。

ブログを始めて良かったことはありますか?

「あら、その靴かわいいわね。どこで買ったの」
「そうかしら。どうもありがとう。○○に行けば好きな色が見つかると思うわ」

ニューヨークの街角では見知らぬ者同士が突然会話を始めたりすることはそう珍しいことではありませんよね。ブログにはそれと似たような事を感じることがあります。

たとえば、それまでは お互い無言で
「どう、いい靴でしょ」
「あ、あの靴かわいい」
と、誰もが声にならないひとりごとを言っていたのだけれどある日を境に上のような会話が成り立ってしまう。一方通行ではなく、両面通行になった。
見知らぬ者同士の壁をとても薄くしてくれたような気がします。特に我々日本人にとってこの両面通行の持つ意味は大きいのではないかと思います。それがyesであれnoであれ。それまでは口を開くことすらあまりなかったのですから。

そんな中から教えられることも多いし、実際にお会いしてお話をさせていただいたことも何度かあります。
人と人とが触れあう間口が広くなったことは本当に嬉しいです。
100人いれば100の意見があるということを肌で感じることが出来ます。

また、ずーっと疎遠であった人がたまたま僕を見つけて立ち止まってくれたりと、とにかく壁は薄くなりました。

好きな休暇のすごし方。

散歩です。
気まぐれにあちこちをひょこひょこ曲がりながらどこまでも行く。日頃見慣れた風景も逆側の歩道を歩くだけでまったく違うものとなることが多くいまだに新発見の連続です。
それなのに最後に行き着くとこはいつも同じなんだよなぁ……。

ホームレスになられたご経験がおありですが、何が一番大変だったでしょうか?
「寒かったでしょ」、「雪の日とか大変だったんじゃない」などとよく聞かれますが、それらは慣れてしまえばそうでもないんです。大変だったのはやはり雨です。びしょ濡れになると身も心もほんとうに滅入ってしまいます。

その生活は常に「どこか」へ行く途中でした。終わりが見えないというのは楽しくもあり、辛くもあり。月並みなことですが日が沈み、また昇る。日の出を見る時にはいつも不思議な充実感に包まれていました。

そして、ホームレスをやめられた理由は何だったでしょうか?

たくさんの小さな出来事が複雑に絡み合った結果なのですが、一番直接的なひきがねとなったのは<人>でした。誰か特定の人ではなく人間、いやその心です。人の心の中にあるやさしさに触れ、それが自分の血に溶け込んでいっていることを最後の一時期にはひしひしと感じていました。
そうこうしているうちに「カチンッ」、「カチンッ」という音があちこちから聞こえ始めたんです。とても抽象的な言い方なのですが、その当時の僕はまさに「あ、今またどこかで歯車がかみ合ったぞ」と頻繁に感じていたんです。そのうちに錆びていたとばかり思っていた機械が少しずつ動き始め、気づいてみたら自分の力ではどうしようもない勢いでになっていたんです。
「とりあえず乗っかってみるか」という気持ちで腰をあげた次第です。

今となっては不思議な出来事の数々が時を同じにして起こったとしか言いようがありませんが、それはやはり必然だったのだと思います。
縁というものはあちこちに存在しているのだけれどそれをつなげて行くのは自分にほかならない。こんな僕が言うとおかしく聞こえてしまうかもしれませんが、偶然を必然に換えて行くのは自分しかないと思います。

たまたまあの時期の自分の中にそういったものが出来上がっていたのでしょう。
最初の一歩は何をやるにしてもとても難しいのですけれど。

バスで旅をされているとき(観光客)、ホームレス、サラリーマン、経営者、
そして今はライターと色々なご経験をされていますが、それぞれの立場で
ニューヨークを見られて、ニューヨークに住む(いる)のはどの立場が
一番楽しいまたは充実していると感じられますか?
どんな立場にいてもそれぞれで楽しい街。溶け込むことのできる街。
それがニューヨークなのではないでしょうか。
ブログ「元ニューヨーク・ホームレスの眼」の読者に一言お願いいたします。
いつも読んで下さってありがとうございます。
僕のブログはそれ程情報性のあるものではないですけれど、この小さな文章の世界からニューヨークの風を少しでも感じ取っていただけたらうれしいです。そして一人でも多くの人がこのニューヨークを好きになってくれますように。

(2007年3月)
 


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