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建築家
後藤(朗子)ステファニーさん
 
プロフィール

Rafael VinolyやDavid Rockwellなど、業界のトッププレイヤー達の元で経験を積み、2004年に独立して、STEPHANIE GOTOを開業。建築だけでなく、商品、グラフィック、アート、内装など、トータルな空間のクリエイションがコンセプト。安藤忠雄氏、料理の鉄人の森本正治氏とのコラボによるMORIMOTOレストランや、Christian LiaigreとのパートナーシップによるBUDDAKANレストランなど、巨大なプロジェクトを遂行した。

現在は、ニューヨーク、ロサンゼルス、アジア諸国のレストラン、個人住宅、コンドミニアム、ホテルなど多様なクライアントに奉仕している。

NOと言われてもあきらめない。いかにYESに変えていくかを追求するのが大切

「日本人とか、アメリカ人とか、女性とか、年齢とか、そういうことは気になりません。NYは人種の坩堝。世界中から集まった多様な人達が、それぞれの個性と実力で勝負している。私もその一人です」
「私はニューヨーカー」とキッパリ言い切るステファニー後藤さん。日本をひきづりながら生きる在NY日本人とは違う。「真の国際人」として自立した、大人の女性としてのシャープさが漂う。

現在、彼女は、ユニオンスクエアの正面に、自らの建設・デザイン事務所「STEPHANIE GOTO」を構え、ロサンゼルスの有名なアートコレクターの自宅、マンハッタンのオフィスビル、セレブレストランの内装など、数々の最先端のプロジェクトをこなしている。
「ユニオン・スクエアは、様々な人間ドラマを映し出す世界の中心地。多種多様な文化、アート、人生が交差する画期的な場所で、とても気に入っています」

スリムな体にまとった黒いロングスーツが、黒髪によく似合う。自らの個性的なプレゼンテーションも完璧。抜群のセンスの良さが伝わってくるようだ。



真のバイリンガルとして育つ

Monkey Bar 生まれはロサンゼルス。幼少時にNYに移住して以来、ずっとNYと、まさに生粋のニューヨーカーだ。一方、ご両親は日本人で日本にも頻繁に帰国していたため、日本語も流暢。バイリンガルとして、NYで青春時代を過ごした。
「子供の頃からアートやファッションが大好きで、自分の部屋の家具を月に2−3回動かしたりしてました(笑)。空間のアレンジ、建物のデザインなどに強い興味があり、10代の頃から、すでに建築家の道を意識し始めていましたね」。

一方、音楽や美術が好きなご両親に連れられて、子供の頃から各国に旅行し、多彩な文化や芸術に触れてきたという。この頃に得た世界観、インスピレーション、グローバルな価値観も、今の彼女に大きな影響を与えているようだ。

 高校3年の時に参加した6週間の建築サマープログラムで手応えを得たステファニーさんは、コーネル大学の建築科へと進学する。「大学時代は徹夜の連続。必死で勉強しましたね。プレッシャーも大きく大変な時でしたが、あの頃の努力があったからこそ、今の私があるのだと思います」。
 数学、物理、技術、理論、構造力、創造力…。建築の勉強には多様な知識やスキルが必要とされ、要求レベルも極めて高い。しかし彼女は、大学2年目からは校内の建築ジャーナル誌のチーフエディターにも抜擢され、さらに活動の輪を広げていった。

「常に、自分をプッシュしていきましたね。いつもNo.1でいたかったですし(笑)。でも、建築やデザインは好きだったので、あまり苦にはなりませんでした。」


チャレンジなしでは成長しない

 大学卒業後は、東京国際フォーラム、ジャズ・アットリンカーンセンター、コロンビア大学などの大型クライアントを持つ建築家Rafael Vinoly氏の事務所に就職。
「一番若手の新米でしたので、わからないことばかり。就職後の最初の1週間は、朝の5時まで働き、翌朝は誰よりも早く8時半に出勤。とにかく仕事に全力投球。夢中で人生を滑走していった時期ですね」
 建築はすぐに学べるものではない。何度も試行錯誤を繰り返し、いくつもの経験を積み重ねながら、少しずつ自分のスタイルや概念を構築していくものだ。だからこそ、人一倍の忍耐と努力が問われてくる。当時は、若さや経験の浅さでチャンスがまわってこなく、フラストレーションがたまる時もあったという。しかし、「好きなこと」だからこそ、常に前向きに突き進んでいけたのだ、と当時を振り返る。

「『チャレンジ』という言葉は好きですね。NOといわれても、そこでへこまない。それを、いかにYESに変えていくかをジックリ考えて、YESに変えていくために前向きに努力をしていく。チャレンジしていかないと、人間は成長しません。ある時点で認められなくても、ベストを尽くしてやっていけば、いつかどこかで必ず報われると信じていますから。」

一番大切なのは、誠心誠意で仕事に取り組むこと。熱意と愛情を傾ければ傾けるほど、完成品に輝きがでる。作り手のエネルギーが、完成品を通して、見る人に伝わるものです。


Morimoto魂を込めた作品こそが、人々の心を動かす

 その後、有名なDavid Rockwellとの仕事や、フリーの仕事を経て、2004年に独立。自らの事務所を立ち上げる。

独立のきっかけとなったのは、デザイナー安藤忠雄氏とのコラボによる、料理の鉄人、森本正治シェフのNY初のレストラン「MORIMOTO」のビッグプロジェクトだ。砂のガーデンをイメージした白い布が波打つ天井、17400本の水ボトルで創られたクリスタル仕切り、木の葉が埋め込まれた透明アクリルのカウンターなど、斬新な建築内装で、同レストランは、業界やメディアの話題をさらった。
「2年半の壮大なプロジェクトでした。時差がありましたので、24時間フル回転。寝ないで仕事をしました。学生時代と同じ生活ですね(笑)。コネチカットの倉庫で、天井の白布を作るブロードウェイのステージセットの方とテストを繰り返したり、暖簾を縫ってくれる人やアーティストと細かい打ち合わせをしたり。毎日がチャレンジとエキサイトメントの連続でした」

彼女の建築・内装のアプローチは「トータルコンセプト」。テーブルクロスの色、バスルームに置く花瓶の形、ロビーに立つドアマンのユニフォーム、外壁のお店のサイン、そういう細かいディテールを徹底的に追求しながら、同じコンセプトを、一つの糸のようなものでつないでいく。そこには、日本的な繊細な気遣いや感性も反映されていく。

最後に、建築やデザインの仕事の醍醐味は何なのか?

「自分のアイディアを、魂を込めて形にしていく。そしてできた完成品が、見る人、体験する人々の情感に、何らかの影響や刺激を与えることができる点でしょうか」

「NYでできれば、どこでもやっていける」と信じるステファニーさん。まずはNYで自分のブランドを固め、それから世界に飛躍していきたいという。彼女は、まだ33歳。本格的なキャリア・ビルディングは、まだこれからだ。
若い彼女のバイタリティ溢れる、そして、人々の心の琴線に触れる新作品に期待したい。

【2008年6月】
(取材/文/写真 吉藤美智子) ※店舗写真を除く



◆ STEPHANIE GOTO

ステファニー後藤
One Union Square West
New York, NY 10003
Tel: 212-475-5575
http://www.stephaniegoto.com

【略 歴】
1992年 コーネル大学、建築学部に入学。
1997年

有名な建築家Rafael Vinolyの事務所に勤務し、Jazz at Lincoln Center Rose Hall, Columbia University, International Climate Prediction Center, University of Chicago Graduate School of Business, Pittsburgh Convention Centerなどのプロジェクトに従事。

2002年 David Rockwellの事務所にプロジェクト建築家として参画し、Motown Museum in Detroit, Emeril Lagasse’s Miami Beach Restaurantなどに着手。
2004年 独立して、マンハッタンにSTEPHANIE GOTO を開業
2006年 安藤忠雄氏、森本正治氏らとのコラボでMorimoto Restaurantを、 インテリアデザイナー Christian Liaigreとのパートナーシップで、Buddakan Restaurantの建築・内装デザインに従事。
2007年 伝統的なMonkey Barの再生建築を実現
2008年 シェフPaul Liebrandtとレストラン経営者Drew NieporentのCortonを秋にオープン予定。
   


 


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